EUでは運輸関連の外部費とインフラ費の大半を社会が負担、欧州委の委託研究

欧州委員会は2018年12月17日、“EUの人・物の輸送が環境、健康、大気質、気候に与える悪影響、いわゆる外部費用は毎年1兆ユーロ(EUのGDPの約7%と同額)ほどで、関連インフラ費用も含めて、大半を利用者ではなく社会が負担している”とする委託研究の予備結論を公表した。研究は、運輸の外部費用とインフラ費用を評価し、それらと利用者が負担する税金・料金とを比べて“利用者・汚染者負担の原則”の実施状況を概観すべく、オランダのコンサルティング会社CE Delftなどが2017年9月から実施しており、2019年5月に完了し、翌6月のEU運輸閣僚理事会で報告される予定。研究の知見は、欧州委員会が今後、外部費用のさらなる内部化と関連措置を考える上で重要な参考となる。

今回の予備結論は、欧州委員会が運輸業界関係者を招いて研究について説明・意見交換すべく開催した会議で示された。プレスリリースと会議資料(順に下記URLで閲覧可能)によると、その概要は下記のとおり(なお研究は、道路、鉄道、内陸水路輸送については全体を、航空と海上輸送については一部のみを網羅)。

https://ec.europa.eu/transport/themes/logistics/news/2018-12-17-costs-of-eu-transport_en

https://ec.europa.eu/transport/sites/transport/files/2018-year-multimodality-external-costs-ce-delft-preliminary-results.pdf

 

  • 運輸の外部費用とインフラ費用の大半は、利用者よりむしろ社会が負担しており、これは概して全輸送手段に当てはまる。費用を利用者が負担している割合が最も高いのは道路輸送(それでも半分に満たない)で、最も低いのは水上輸送。
  • 外部費用だけで見ると、利用者による負担割合が最も高いのは鉄道輸送。
  • 航空輸送の利用者は、インフラ費用のほぼ全額を負担しているものの、環境関連の外部費用の負担は限定的。
  • EU28カ国の2016年の道路、鉄道、内陸水路輸送の外部費用は計5710億ユーロで、道路渋滞遅延分2700億ユーロを加えると8410億ユーロ。航空輸送は域内33空港で330億ユーロで、全域では480億ユーロと推計され、海上輸送は域内34港で440億ユーロで、全域では980億ユーロと推計される。これらの総計は9870億ユーロ。
  • 外部費用の項目別内訳は、事故29%、道路渋滞遅延27%、大気汚染14%、気候14%、騒音7%、Well-to-Tank(資源採掘から燃料タンク充填まで)5%、生息域影響4%で、環境関連が半分近くを占める。輸送手段別(絶対額)では、道路(渋滞遅延分を除く)75%、海上輸送15%、航空7%、鉄道3%と道路が圧倒的に多い。なお道路輸送の利用者による外部費用の負担率は最も低い。
  • EU28カ国の2016年の道路、鉄道、内陸水路輸送のインフラ費用は計2670億ユーロ、航空輸送は33空港で140億ユーロ、海上輸送は34港で140億ユーロ。
  • EU28カ国の2016年の道路、鉄道、内陸水路輸送の税収・課金収入は3850億ユーロ、航空輸送は33空港で135億ユーロ、海上輸送は34港で18億ユーロ。

 

*1ユーロ=約123円