再生可能エネルギー大国のコスタリカ、脱炭素社会実現に向けてEV普及促進

電力の98.5%を再生可能エネルギーで発電するコスタリカで、脱炭素社会の実現に向けて電気自動車を積極的に導入する政策が展開されている。

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水力発電、太陽光、風力、バイオマス、地熱などを非常に積極的に使い、消費電力の98.5%をこれら再生可能エネルギーにより発電している再生可能エネルギー大国コスタリカが輸送部門の脱炭素化を目指している。

2018年5月8日に新しく就任したカルロス・アルバラード・ケサーダ大統領は、サステナビリティや脱炭素化を重視した新政策を発表し、中でも電気自動車(EV)に関して、今後5年間で4万台を普及させる目標を立て、購入時の優遇税制や充電インフラの整備を重視する政策を実施している。

コスタリカは人口約500万人、観光資源に恵まれた国であり、エコツーリズムを促進するうえで輸送部門の電化が重要な課題となっている。同国環境省によると、輸送部門の炭化水素消費に占める割合は66%で、CO2排出量では54%を占めている(2011~2015年の期間で住民一人当たりのCO2排出量は1.7トンであった)。

山岳地帯が多いため、庶民はピックアップや大型4WD車を好み、自家用車の大半はまだまだガソリン車とディーゼル車となっており、同国における自動車登録台数140万台のうち、EVは600台に留まっている。

こうした中、コスタリカ電力公社(ICE)は自社の約100台の商用車をEVに交換し、ICEのBernal Muñoz電力モビリティ部長は、「我が国の地形にEVが適しているという点をアピールすることが目的だ」と語った。

コスタリカでは、日産、現代自動車及びBMWのEVモデルが3万~5万米ドル(約329~548万円)の価格で市販されている。同国でEVに乗り換えると、燃料・維持費を毎月約130米ドル(約1万4000円)を節約することができると試算されているが、価格は庶民には手の届かない高嶺の花になっている。

このため、同国政府はEV購入時の優遇税制の対象を約半分の価格で販売される中古車にも対象を広げ、この結果、EVの登録台数は過去1年間で倍増した。

中古EVの販売台数は1年半前には1ヶ月に1台のペースであったが、現在では4台に、2019年中には10台に至る見通しである。