ドイツでは現在、ディーゼル車走行禁止措置やこれに伴うディーゼル車所有者の不利益にスポットライトが当たっているが、その傍らで、ディーゼル車需要の落ち込みによる雇用への影響も次第に目に見える形であらわれ始めている。
2019年1月7日付のドイツ自動車業界紙 “Automobilwoche“ によると、自動車部品大手ボッシュ(Robert Bosch GmbH)のウヴェ・ガックシュタッター(Uwe Gackstatter)取締役は、昨年一年間に、同社のディーゼル技術関連コンポーネントの主要生産拠点であるホンブルグ(Homburg)とバンベルグ(Bamberg)の両工場で合わせて600名の雇用が削減されたことを明らかにした。
また、同社広報担当者によると、その内訳は半数が正社員の早期定年退職制度利用によるもので、残りの半数は期限付き雇用契約の終了に伴うものであった。この担当者は、ディーゼル車需要の減退を受け、同社の関連コンポーネント受注量が減少していると話している。
最も多くの雇用削減が実施されたのがホンブルグ工場である。ボッシュ従業員協議会(Betriebsrat)のデータによると、2018年には同工場でおよそ120の期限付き雇用契約が終了し、全体では400名の雇用が削減された。もっとも、同工場ではすでに数年前から従業員数の削減が進められている。現在の従業員数は4100名だが、最も多い時期には6500名を数えた。
ボッシュは、ディーゼル技術で世界市場をリードするサプライヤーであり、ディーゼル関連部門の従業員数は全世界で約5万人に及ぶ(うち1万5000人はドイツ国内)。このため、ディーゼル車離れによって同社が受けるダメージは、自動車メーカーのそれよりも大きいと言える。自動車メーカーでは、消費者の需要変化に合わせて、サプライヤーへの発注内容をガソリンやハイブリッド自動車向けのコンポーネントやシステムに変更することができるが、サプライヤーが燃料噴射装置生産ラインやその他の関連機械及びツールをディーゼルからガソリン向けに単純に入れ替えることは不可能である。
“Automobilwoche“ 紙によると、ボッシュ従業員代表者の間では、今年も引き続き雇用削減が行われることへの不安が広まっている。この点については、会社側はコメントを差し控えるとしている。