スウェーデンでは2019年1月21日、昨年9月の総選挙から4か月ぶりに新政権(社会民主労働党と緑の党による連立政権)が発足した。シュテファン・ロベーン首相(Stefan Löfven、社会民主労働党党首、2期目)はこの日、議会における閣僚名簿の発表に際し、新しい政策方針を発表した。この中には、パリ協定の順守に向けた環境・気候政策分野での数々の施策が含まれているが、中でも注目を集めているのが、2030年以降、新しいディーゼル車とガソリンエンジン車の販売を禁止する方針である。
これにより、スウェーデンは、すでに内燃機関自動車の禁止計画を発表している近隣諸国に肩を並べることになる。隣国ノルウェーは、2025年以降、内燃機関自動車の新規登録を行わないとしている。同国ではEVの購入に対する補助金支給や各種インセンティブを充実させた結果、2018年にはすでに新規登録自動車全体の31.2%がEVになっている(プラグインハイブリッド自動車を含めた電動車の割合は49.1%)。また、デンマーク政府も、2030年以降、ディーゼル車とガソリン車の販売を禁止するとしている。同国は、2050年までに化石エネルギー源の利用を完全に止める予定だ。さらにアイスランド政府も、2030年を内燃機関自動車禁止の目標年に据えている。なお、国際環境NGOグリーンピース(Greenpeace)によると、こうした「脱」内燃機関自動車の具体的な期限を設定した国として、スウェーデンは世界で10番目にあたる。英国やフランス(いずれも2040年)といった経済大国もその中に含まれている。
スウェーデン新政府の書面によるステートメント”Statement of government policy”(英語、24ページ、PDFファイル)は、以下のURLで閲覧できる。
内燃機関自動車の禁止の他に、例えば以下のような施策も盛り込まれている。
- 国内における石油と天然ガス探鉱の禁止(これに伴い、ゴットランド島における天然ガス探査事業は即刻中止された)。
- 携帯電話及び電池を対象とするデポジットの導入
- 繊維製品のリサイクルシステムの実現可能性の検討
鉄道インフラの拡張ならびに国内共通乗車券システムの導入