2040年までに新車市場を完全にゼロエミッション車にする目標を掲げるカナダ連邦政府が、購入補助金制度の導入と充電インフラの増強を計画している。
ジャスティン・トルドー首相が率いるカナダ連邦政府は、2040年までに新車販売市場をゼロエミッション車(ZEV)に100%限定したいとの目標を立て、2025年より漸次的に10%、2030年に30%、2040年に100%に移行する計画を進めている。
ケベック州モントリオールを訪問中のキャサリン・マッケナ環境・気候変動担当大臣は2019年1月23日、同国政府が電気自動車(EV)の購入者に対して資金援助を実施する意向を明らかにするとともに、充電インフラを国内に整備するうえで電力大手ハイドロケベック社に500万カナダドル(約4億円)を資金援助することを発表した。
カナダ・バンクーバーを拠点とするシンクタンク「Clean Energy Canda」は、政府の目標は野心的であるが実現可能で、ケベック州及びブリティッシュ・コロンビア州の目標と一致していると評している。購入補助金は同政府の目標である完全ZEV化を進めるにあたり不可欠であると考えられる。
ハイドロケベック社は2018年5月に国内1600基の充電器を追加整備するにあたり今後10年間で1億3000万カナダドル(約108億円)を投資することを発表している。同社によると、急速充電器1台の設置費用は8万カナダドル(約660万)であり、今回発表された政府による資金援助は、投資回収期間を縮めることになるが、充電インフラのさらなる整備拡大にはつながらないという。同社は、充電需要の高まりに応じて追加収入を見込んでいるため、充電インフラへの投資が電力料金に影響を与えることはないと考えている。ケベック州におけるEV普及台数は、現在1万8000台であるが、2022年には9万9000台に至ると見込まれている。
【ケベック州の状況】
- EV及びハイブリッド車の普及台数:4万台(うちEVは1万8000台)
- 公共EV充電器:1700基(うち168基は急速充電器)
- 購入補助金
- EV購入価格7万5000万カナダドル以下の場合8000カナダドル
- EV購入価格7万5000万カナダドルを上回る場合3000カナダドル
プラグインハイブリッド車は電池容量に応じて500~8000カナダドル