2019年3月19日、カナダ環境省は、『(移動可能及び固定の)オフロード用圧縮点火エンジン及び大型火花点火エンジンの排ガス規則(Off-road Compression-Ignition (Mobile and Stationary) and Large Spark-Ignition Engine Emission Regulations)』案(以降本規則案)を官報Part Iで発行した。
オフロード用エンジンからの排ガスの削減と米国との排出基準の一致を主な目的としている。本提案は、米国の排ガス基準との一致、2021モデル年からの適用、最終規則登録の日から6ケ月後の発効、現在の『オフロード用圧縮点火エンジンの排ガス規則』の置き換えなどを提案している。
本規則案に対して異論があり検討委員会の設立を求める通知は本官報発行後60日以内、本規則案に関するコメントは本官報発行後75日以内に提出しなければならない。
カナダのオフロード用エンジン規則の問題
(1) 米国とカナダの排ガス基準の違い
現在、カナダには、米国環境保護庁(EPA)の移動式圧縮点火(MCI:mobile compression-ignition)エンジンに関する排出基準に合わせた排出基準を設定した規則、『オフロード用圧縮点火エンジンの排ガス規則』がある。しかし、大型火花点火(LSI:large spark-ignition)エンジンと固定式圧縮点火(SCI:stationary compression- ignition)エンジンに関する排ガス基準はない。
(2) 現規則の編纂上の問題
現状の『オフロード用圧縮点火エンジンの排ガス規則(Off-Road Compression-Ignition Engine Emission Regulations)』及び『オフロード用小型火花点火エンジンの排ガス規則(Off-Road Small Spark-Ignition Engine Emission Regulations)』には明瞭性にかける部分があり、英語版とフランス語版の間にマイナーな不一致がある。
本規則案の目的と改正提案内容
(1) オフロード用エンジンからの大気汚染物質排出の削減
(2) カナダと米国の規制のレベルの一致
・MCIに適用される現在の、『オフロード用圧縮点火エンジンの排ガス規則』を置き換える。MCIの排ガス基準は変更しないが、適用にいくらかの融通性を持たせる。
・LSIとSCIエンジンに関しては、米国EPAの基準に合わせた排出基準と要件を設定する。いずれも2021モデル年から適用を開始する。
主な適用対象 | 対象汚染物質 | 倣う米国の排出基準 | その他 | |
LSI | 稼働寿命5000時間もしくは7年以上 | HC、NOx、CO | Tier 2 | 蒸発および、染み出し並びに、温度変化及び稼働時損失による排出も規制 |
SCI | シリンダー当たり排気量30L未満の新品 | NOx、PM、ノンメタンHC、CO | Tier 2、3、4
(官報Table 3参照) |
(3) 明瞭性の向上および、乗り物とエンジンに関するその他の排ガス規則との矛盾をなくすために、その他の排ガス規則を改定する。
その他多くの項目を提案している。詳細は官報のDescriptionを参照。
官報は以下のURLで見ることができる。
http://www.gazette.gc.ca/rp-pr/p1/2019/2019-03-09/html/reg3-eng.html