2019年4月1日、カナダ連邦は、『温室効果ガスによる汚染の価格付け法(Greenhouse Gas Pollution Pricing Act)』に基づき、オンタリオ州、マニトバ州、ニューブランズウィック州、およびサスカチュワン州で燃料と可燃廃棄物に対し課税を開始した。2019年の税額は、温室効果ガス(GHG)1トン当たりC$20(約1660円)で、2022年のC$50(約4150円)まで毎年C$10(約830円)ずつ増額される。政府はこの燃料税を、“Climate Action Incentive(気候変動対応活動インセンティブ)”と呼ばれる税控除と対にしている。インセンティブの圧倒的に多くが家庭に支給される。この燃料税は、2019年1月1日に開始された特定産業のGHG排出者に対する、いわゆるキャップ・アンド・トレード制度に続くものである。
カナダには13の州・準州があるが、前記の4州でカナダ全体の人口の半分を占める。
注記:1C$=約83円
負担とインセンティブ
連邦の予測では、2019年の家庭当たりの平均支出増加は州によりC$202からC$403となる。一方、リベート(インセンティブ)の額はC$248からC$598になる。インセンティブは家庭に厚くなると予測されている。支出もリベートも燃料税とともに年々上昇する。
適用される州
backstop program(逆行防止プログラム)と呼ばれている連邦の炭素価格制度は、同プログラムと同等以上の炭素価格制度を持っていない州に適用される。オンタリオ州は、2018年の新首相就任により同州の炭素価格制度を廃止している。人口の多い州の中で、ケベック州、ブリティッシュコロンビア州、アルバータ州が州の炭素価格制度を持っており、同プログラムは適用されない。しかしアルバータ州の首相は、州の炭素価格制度を廃止する方針であると発表していた。もし廃止した場合はアルバータ州にも同プログラムが適用される。4つの州は、この燃料税に反発し退けようと、法廷で争っている。
産業界の反応
産業界の反応は、大規模企業では全体的に好意的であるが、小規模企業はリベートが家庭に偏っており、小規模企業の負担が大きいと反発している。
本燃料税の根拠法
Green House Gas Pollution Pricing Actは、Part 1 燃料に対する課税と税控除(Climate Action Incentive)および、Part 2特定産業からのGHG排出に対する、いわゆるキャップ・アンド・トレード制度から構成されている。同法律は以下のURLで見ることができる。
https://laws-lois.justice.gc.ca/eng/acts/G-11.55/FullText.html