スペイン政府の持続可能モビリティ助成プログラムMOVES始動――重点はEV、天然ガス車は対象外に

スペイン政府は2019年2月15日、効率の良い持続可能なモビリティのための助成プログラムMOVESを承認し、同プログラムは「勅令72/2019」として翌日16日に発効した。

勅令72/2019原文は、以下のスペイン官報(BOE)上で閲覧できる(スペイン語のみ)。

https://www.boe.es/boe/dias/2019/02/16/pdfs/BOE-A-2019-2148.pdf

 

4500万ユーロ(約56億6000万円)の総予算の主な使途は、「電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の購入補助金支給」と「充電インフラ整備」とされている。助成の配当を担当する17の各自治州は、「20~50%を代替駆動自動車購入補助に、また30~60%をEV充電インフラ構築に」という所定の予算配分率に従わなければならない。企業、自治体、公共機関のほか、個人も申請することができる。

 

Eモビリティ関連助成の概要

  • 自動車購入補助金

 

駆動形式 カテゴリー 電気モード

航続距離km

車両価格上限

(ユーロ)*

補助金額

(ユーロ)*

燃料電池(FCV、FCHV) M1   5,500
プラグインハイブリッド(PHEV)、電気(EV)、

エクステンデッド・レンジEV(EREV)、燃料電池(FCV、FCHV)

12~32 40,000

(障がい者または大家族特例:45,000)

1,300
32~72 2,600
72~ 5,500
N1 32~ 6,000
M2、N2   8,000
M3、N3   15,000
電気(EV) L6e   600
L7e   800
P ≥ 3kW のL3e、L4e、 L5e 70以上 10,000 750

(出所:スペイン勅令72/2019)

* 1ユーロ=約126円

 

  • 充電インフラ設置:対象費用の30%ないしは40%、ただし10万ユーロを上限とする。

 

天然ガス自動車は支給対象外に

なお、これまでの代替駆動自動車需要促進プログラム(MOVEAやMOVALTなど)では、天然ガス自動車の購入補助金が支給されてきたが、MOVESでは、M1、N1、M2(主に乗用車及び小型商用車)及びM3カテゴリー(5t以上の人員輸送自動車)の天然ガス自動車は支給対象外となっている。N2及びN3カテゴリー(3.5t以上の貨物輸送自動車)は引き続き対象となってはいるものの、補助金の額は大幅に削減された。

 

スペインの気候変動対策の最新動向

同国では、4月28日に前倒し総選挙を実施することが決まり、これに伴い、「2040年以降、炭素を直接排出する乗用車及び小型商用車の登録と販売を認めない」とする内容を織り込んだ、気候変動及びエコロジー移行法(Climate Change and Ecological Transition Law)案についての審議は保留となっている。一方、同国のバレアレス諸島自治州政府ではこの2月、2025年以降ディーゼル新車を禁止する法律が可決された。