スペイン・カタルーニャ自治州、自動車やオートバイの所有者からCO2排出税徴収へ

スペイン・カタルーニャ自治州(州都:バルセロナ、人口:約750万人)で、乗用車、バン、そしてオートバイを対象とする二酸化炭素(CO2)排出税の導入が間近に迫っている。同州は国内で初めて、気候変動の原因となる車両の所有者に、その対策費用の負担を求める地域となる。対象となる自動車とバンは約360万台、またオートバイは約50万台と推定されている。

 

カタルーニャ州のCO2排出税は、温室効果ガス排出抑制と地球温暖化防止を目的として、2017年8月に州議会で可決された。導入が現在まで延期されてきたのには理由がある。同税制は、同じく2017年に可決された「気候変動法(Climate Change law)」の中に組み込まれることになっていたが、中央政府がこの法律を国家権能へ介入の疑いがあるとして、憲法裁判所の審判に付したという経緯があったためである。しかし、今年6月にようやく同法の合憲性を認める判断が下された。これを受けて州議会は年内にも、同税を気候変動法の附属書として法制化する予定である。

 

これによると、自動車とバンの所有者からは2020年以降、またオートバイの所有者からは2021年以降、CO2排出税が徴収される。対象車両の所有者は、毎年11月1日から20日の間に前年分の税金を納付することになっている。自動車とバンでは、2019年分はCO2排出量が120g/kmを超える車両、そして2020年以降は95g/kmを超える車両が対象となる。例えば、CO2排出量が265g/kmのポルシェカイエンの所有者に対する課税額は、2019年分は127ユーロ、そして2020年分は176ユーロとなる。なお、電気自動車はこの新しい課税の対象外である。同州では既に2015年以降、電気自動車を対象に、有料道路の通行料免除、無料駐車場やバスレーンへのアクセスといった優遇措置を導入している。

 

ちなみに、カタロニア州政府によると、CO2排出税導入による潜在的な税収は、年間およそ1億5000万ユーロ(約180億円)である。この税収はすべて、以下の二つの使途に均等に割り振られる。

  • 気候基金(Climate Fund):クリーン自動車購入、公共交通機関の改善、再生可能エネルギーの促進、エネルギー効率の優れた住宅を対象とするインセンティブや補助金支給などの気候変動緊急対策の実施。

自然遺産および生物多様性基金(Natural Heritage and Biodiversity Fund):州の自然環境管理政策の実施。