2019年3月8日、スペイン内閣は、エネルギー多様化・省エネルギー研究所(IDAE)が策定した代替燃料車に補助金を拠出するプログラム(MOVES:Programa de Incentivo a la Movilidad Eficiente y Sostenible)で自治州や地方自治体に計4500万ユーロ(約57億円)の補助金を交付する勅令132/2019を承認した(MOVESそのものは、2019年2月15日付け勅令72/2019で定められている)。MOVESは、代替燃料インフラ配備に関する欧州議会及び理事会指令2014/94/EUに基づき策定された。補助金は以下の4項目に振り分けられる。
- 代替燃料車の購入(補助金の20%~50%。ただし、このうち10%はオートガス(自動車用LPガス)および天然ガスの大型車に充てる)
- 電気自動車の充電インフラの設置(補助金の30%~60%。ただし、このうち50%は、高速充電および超高速充電施設に充てる)
- 電動自転車購入への貸付制度を実施するための優遇措置の策定(補助金の5%~20%)
- 「職場への通勤計画」(Plan de Transporte al Centro de Trabajo:自動車通勤による渋滞を緩和するための政府の計画)で挙げられている措置(補助金の0~10%)
また製造業者、輸入業者、販売店は代替燃料車購入にあたり、最低1000ユーロ(約12万6千円)の割引を実施することが求められている。(ただし、バイクと超小型車は除く)
MOVESの概要は以下のとおりである。
- 対象者:個人、自営業者、法人、企業、地方自治体、国や地方の公的機関等
- 代替燃料車の購入への補助金(個人、自営業者、公的機関向け)の例
<普通自動車(M1:8人乗りまで)>
- FCV(燃料電池自動車)、FCHV(充電可能な二次電池を搭載した燃料電池自動車)の場合は、5500ユーロ(約70万円)
- PHEV(プラグインハイブリッド車)、EREV(Extended Range Electric Vehicle従来のハイブリッド車より長距離の連続走行を可能にしたもの)、EV(電気自動車)で販売価格4万ユーロ(約500万円)未満の場合は以下を参照:
航続可能距離(満充電の状態から電気エネルギーだけで走行可能な距離) | 補助金 |
12km以上32km未満 | 1300ユーロ(約16万円) |
32km以上72km未満 | 2600ユーロ(約33万円) |
72km以上 | 5500ユーロ(約70万円) |
<最大積載量3.5トン未満のワゴン車、軽トラック(N1)>
- PHEV、EREV、EV、FCV、FCHVで航続距離32km以上:6000ユーロ(約76万円)
- PHEVMOVESは官報掲載日(2019年2月16日)に発効し、予算の財源が尽きるまで、もしくは2019年12月31日に終了する。
本件は以下で参照可能である(スペイン語)。
https://www.boe.es/boe/dias/2019/03/09/pdfs/BOE-A-2019-3404.pdf
https://www.boe.es/boe/dias/2019/02/16/pdfs/BOE-A-2019-2148.pdf