仏独電池セル生産戦略関連の新動向:フランス政府が7億ユーロの資金供給を発表など

フランスとドイツの両政府は2018年12月に、欧州における電池セル生産に向けた戦略的アプローチで協力することを発表した。この枠組みで両政府は、欧州域内での電池セル生産に向けて、自動車メーカーを含む(複数の)コンソーシアムを2019年第1四半期末までに特定することを目指し、これらのコンソーシアムの構成企業はドイツとフランス以外のEU加盟国の企業であってもよいとされている。この関連で最近、以下の新たな動きが確認された。

 

  1. フランス
  • 政府が7億ユーロの資金供給を発表

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は2019年2月13日、この関連で、電池セル生産拠点の構築支援を目的として、向こう5年間に7億ユーロ(約885億円)の資金供給を発表した。同大統領はこの日、フランスとドイツでそれぞれ一つの生産拠点の建設計画が進められていると語ったが、それ以上の詳細は明かさかった。なお、ドイツ連邦政府は、既に12月のステートメント発表前に、2022年までに10億ユーロ(約1265億円)の資金を調達する方針を明らかにしていたが、フランス政府はこの時点では具体的な金額を挙げていなかった。

 

  • PSAソショー工場敷地が候補に

3月3日付けのElectriveの報道によると、その後フランス国内では、セル生産拠点の候補地として東部のブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏(BFC:Region Burgund-Franche-Comté)の名前が浮上している。同地域圏のプレジデントMerie-Guite Dufay氏は先日、書面によるステートメントを出し、フランス、スイス、そしてドイツが国境を接するエリアに位置する、モンベリアル(Montbéliard)市に工場を建設することを提案した。同ステートメントには、「当地域圏は、電池生産複合施設の建設に向けたすべてのプロジェクトを検討する用意がある」との基本姿勢が示されている一方で、特に自動車大手PSA (Groupe PSA)のソショー(Sochaux)‐モンベリアル工場敷地内にある50ヘクタールの土地に目をつけており、「鉄道、道路、水路や適切な工業建物が既に使用できる状態にある」と述べられている。

 

  1. ドイツ
  • 連邦政府:年内には産業ベースのソリューション形成を

一方のドイツでは、連邦経済省(BMWi)が2月8日、野党FDP(自由民主党)の小質問(Kleine Anfrage)に対する回答書(Drucksache 19/7652)の中で、国内における電池セル生産に関する連邦政府の見解を示した。この中で、「ドイツ連邦政府は、電池研究ならびに電池セル生産のイニシアチブの一環で、今年中に、コンソーシアムの枠組みにおいて産業ベースのソリューションが形成されることを期待している。これに続いて、そのコンソーシアムによって、国内における電池生産の実現に向けたスケジュールが提示されることになる」との見通しも示された。回答書の原文(ドイツ語のみ)は、以下のURLで閲覧可能である。http://dipbt.bundestag.de/dip21/btd/19/076/1907652.pdf