スペイン政府、EV普及促進計画「MOVES」に4500万ユーロ投資へ

スペイン政府が電気自動車(EV)の普及とEV向け充電設備の拡充を目指す「MOVES」計画を採択した。

 

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スペイン閣僚会議は2019年2月15日、エコロジー移行省が提案した電気自動車(EV)の普及とEV向け充電設備の拡充を目指す4500万ユーロ(約57億円)の「MOVES」計画を採択した。同計画は、「Movalt」及び「MOVEA」の2つの計画に続くものでいずれも電動モビリティの促進が目的とされており、欧州地域開発基金(ERDF)による協調融資を受ける。同計画の概要は以下のとおり。

 

  • EV購入補助金:

電動スクーターに対する700ユーロ(約8万8400円)からトラック等大型車両に対する1万5000ユーロ(約190万円)まで。EV小型車の購入に対しては5000ユーロ(約63万2000円)と、ディーラーによる1000ユーロ(約12万6000円)の割引が規定されており、総額6000ユーロ(約75万8000円)。

  • プラグインハイブリッド車購入補助金:

航続距離が12~32kmの場合は1300ユーロ(約16万4000円)、32~72kmの場合は2600ユーロ(約31万8000円)。

  • 購入価格の上限(EV及びプラグインハイブリッド車):

4万ユーロ、障害者あるいは大家族の場合は4万5000ユーロ、をそれぞれ超える場合には補助金は適用されない。

  • EV向け充電設備:

急速充電設備を中心に対象者によって投資コストの30~40%の援助を受けられる。

  • 対象者:

個人、企業、小規模事業者、地方自治体、政府組織、など対象者は様々。補助金は申請順に予算が無くなるまで実施される。エネルギー多様化・省エネルギー研究所(IDEA)が担当機関。

 

スペイン自動車工業会(ANFAC)のマリオ・アルメロ副会長はMOVES」計画に関して、液化天然ガス(LNG)車と圧縮天然ガス(CNG)車が除外されるなど、補助の対象車が頻繁に変わるので、メーカーとしては、利益を見込める投資ができないと批判した。また、同国においてEVの売上げを促進するには年間ベースで1億5000万ユーロ(約189億円)の補助金が必要であると主張した。

 

なお、同国では、2050年までにガソリン・ディーゼル車の販売を禁止するための法律「気候変動とエコロジー転換法」の作成が進められていたが、予算案が否決されたことを受けてサンチェス政権が解散総選挙を発表するなど、法制化の手続きは遅れている。