ドイツ連邦環境省が2019年3月7日、非常に複雑な自動車ボディ(車体)の生産に革新的な技術を導入する案件として、同国のGEDIA社に200万ユーロ(約2億5000万円)の補助金を支給することを決定した(以下のURLに同省のプレスリリース)。
GEDIAディンゲルクス兄弟会社(GEDIA Gebrüder Dingerkus GmbH、本社:ノルトライン・ヴェストファーレン州アテンドルン)は、自動車の軽量車体(ボディ)用の構造部品と組み立て部品、および車台(シャシ)部品を開発、製造している。環境省は、同省が所管する環境イノベーションプログラムから200万ユーロの予算を、同社のパイロットプロジェクトに配賦する。これにより同社は、大量の鉄鋼とエネルギーを節約しながら、車体重量を軽減できるようになる。環境省は今回、環境イノベーションプログラムから、初めて大規模なイノベーティブな技術開発を補助することになる。この計画はBAT(利用可能な最高水準の技術)の水準を超えていなければならず、かつ実証的な性格を持っていなければならない。
本プロジェクトの目的は、注文にぴったり合った熱間処理された車体部品を製造することにある。これにより車体の重量を引き下げるとともに、衝突安全性能を高める。自動車の燃料消費量と、それに伴う温室効果ガス排出量をさらに削減するには、車体重量の引き下げが決定的な調整要因の1つである。そのため、次の2つの新しい技術を組み合わせることで、この目標を達成する。
- 金属薄板シートバーの技術革新的な熱成形工法
- シートバー成形のためのエネルギー効率の高いプレス機
これらによって、同じ部品を仕上げるのに必要な材料の量を著しく減らすことができる。また、在来技術と比較して、スクラップ発生量を大幅に削減できる。同時に、新たなプレス機が直接、省エネをもたらす。このプロジェクトによって、次のメリットが生まれる。
- 年間最大45%の鉄鋼を節約できる。
- 使用する油圧装置のオイルと車体の接着剤を大幅に減らせる。
- 年間電力消費量を最大20%減らせる。
金属薄板の上流部門から生じる間接的なCO2削減量を考慮すると、在来技術に比べてCO2排出量を年間最大1万600トン削減できる。このうち、加工工程による直接的なCO2排出削減量は、年間307トンである。