タイでバイオディーゼル燃料B10を4月末から販売へ

タイのSiri Jirapongphanエネルギー大臣は2019年4月初め、同国内でのバイオディーゼル燃料の販売について自動車メーカー、石油流通業者、およびバイオディーゼル燃料メーカーの積極的関与を期待できるめどが立ったことから、全国のガソリンスタンドでのB10の販売が同4月末からはじまるという見通しを示した。

B10は、粗パームオイルを原料とするメチルエステルを通常の軽油に10%混ぜたバイオディーゼル燃料である。タイでは現在、B7(メチルエステル7%のバイオディーゼル燃料)が2014年以来、全国で使われている。それまではB5(同5%)が使われていた。なお、B20(同20%)を売っているガソリンスタンドもすでにいくつかあり、政府はB20を全国規模でバスやトラックに使えるようにすることを計画している。

 

日本への輸出を視野にJAMAとも接触:

タイでは近年、粗パームオイルの生産量が急増している。タイ・オイルパーム委員会の推計によると、2017収穫年度には200万トン、2018収穫年度には250万トンだった生産量が、2019収穫年度には300万トンに達する見込みで、生産過剰となる粗パームオイルの利用拡大のためにも、政府はバイオディーゼル燃料中のメチルエステルの比率を増やす方向で動いている。

Siri大臣によると、エネルギー省はM10の日本への輸出を視野に、すでに日本自動車工業会(JAMA)との話し合いをはじめており、そのなかで、M10が通常のディーゼル車の燃料として使えることを強調しているという。

だが、JAMAはM10に含まれるメチルエステルの純度を気にしており、Siri大臣は、「JAMAの懸念を解消するべく、グリセリンのさらなる除去に努めるよう国内のメチルエステル生産業者らを指導していく」と述べている。

 

粗パームオイルのその他の用途:

粗パームオイルの大きな用途としては、上述のバイオディーゼル燃料用メチルエステルのほかに、調理用の植物油がある。また、タイ発電公社(EGAT)は発電用燃料として年間16万トンほどの粗パームオイルを購入している。