欧州委員会は2019年4月9日、自動運転車のEU認証に関わる例外手続きをEU全体で調和させるためのガイドライン “Guidelines on the exemption procedure for the EU approval of automated vehicles“ を公表した。これは、2018年5月17日に同委員会が発表した「コネクテッドモビリティと自動運転に関するEU戦略」(COM(2018) 283)に基づいて、欧州委員会がEU加盟国と協力して開発したもので、2019年2月12日にEU自動車技術委員会(TCMV)の承認を受けている。ガイドライン原文(英語、10ページ、PDFファイル)は、以下の欧州委員会のサイトでダウンロードすることができる。
https://ec.europa.eu/docsroom/documents/34802
目的
EUでは現在、現行法の下で予見されていない、自動運転などの新規テクノロジーの認証は、いわゆる「EU例外手続き(EU exemption procedure)」(以下の注を参照)を通して行うことになっている。これらの認証は、各加盟国の認証当局が実施する暫定的安全性評価(national ad-hoc safety assessment)に基づいて与えられる。そして、これらの認証には、域内相互承認のルールが適用される。
本ガイドラインは、自動運転車を対象とする暫定的安全性評価に関連して、加盟国が従うべきルールを規定するものである。同評価の実務の調和を図り、その相互承認を合理化すると共に、公正な競争と透明性を確保することをその目的としている。さらに、自動運転車の将来的な規制のあり方に関する総合的な議論を促進することも狙いの一つとされている。
注)EU例外手続きは、「型式認証枠組み指令2007/46」(2020年8月31日をもって廃止、規則(EU)No 858/2018にとって代わられる)の第20条、ならびに「自動車等の認証及び市場監視に関する規則(EU)No 858/2018」の第39条に規定されている。
対象範囲
本ガイドラインは、SAE Internationalの自動運転レベル3(conditional automation、条件付き運転自動化)と同レベル4(High automation、高度運転自動化)の車両を対象としている。これらのレベルの自動車はすでに試験済みで、2020年以降、市販される予定になっている。詳細は、ガイドライン原文1ページの図をご参照下さい。
構成
- ガイドラインの目的と適用範囲
- 手続き
- 安全性要求事項
- 自動運転モードにおけるシステム性能
2.ドライバー/オペレーター/乗客間の相互作用
3.運転タスクの権限移譲(transition)
4.ミニマム・リスク・マヌーバー(MRM:minimum risk manoeuvre)
5.イベントデータレコーダー(EDR:event data recorder)の設置
6.サイバーセキュリティ
7.安全性に関わる評価と試験
8.自動運転車ユーザ向け情報提供
附属書I:自動車メーカーが提供すべき情報の一覧
今後の展開とスケジュール
技術的進歩を反映させるために、一年後に同ガイドラインのレビューを実施する。