韓国の文大統領は2019年6月5日、韓国Changwon市で開催された世界環境の日(World Environment Day)の記念式にて、2022年までに粉塵排出量を2016年度排出量に比べ30%削減すると説明し、下記のような政策方案を発表した。
- 火力発電所の閉鎖とLNG発電所への転換
文大統領は、石炭火力発電所を閉鎖して液化天然ガス(LNG)発電所への転換を持続的に推進すると説明した。文政権は、現在残っている石炭火力発電所6ヶ所を2021年度までに閉鎖する計画である。
- 軽油自動車の早期廃車とエコカーの普及計画
文大統領は、粉塵の主な原因である軽油自動車を早期に廃車し、その分エコカーを普及してゆくと述べた。文大統領は、軽油自動車は2030年以内に全面的に退出すると説明し、まずは2021年までに100万台の軽油自動車を早期廃車する予定であると加えた。その代わり、エコカーを積極的に普及し、2022年までに電気自動車43万台、水素燃料電池自動車6万7000台を普及する計画を発表した。
- エコカー政策のための追加予算編成及び水素充填所の設置計画
文大統領は上記の普及計画を達成するため、粉塵対策に対する追加予算の編成を国会に要請している。この追加予算案は約1兆4517億ウォン(約1452億円)であり、追加予算の使い道は、エコカーの充電インフラの拡充、古い自動車をエコカーへの交代支援、水素バスの導入、公共機関が使用する車両を水素燃料電池自動車への交代などが取り上げられている。インフラ拡充のうち、文政権が設置する予定の水素充填所の場合、充填所の構築に必要な部品の60%を国産部品で採用しているという。水素充填所は、2022年までに全国310ヶ所に設置する予定である。文大統領は、充填所の具体的な設置地域、水素の供給方案、安全関連対策、標準制定などを近日中に策定して発表すると述べた。
また、この水素充填所には、圧縮機、貯蔵容器、ガス制御装置、冷却装置などがコンテナー内に配置されるなど、充填所の設置面積を1000m2前後へ簡素化しており、構築期間も当初の10ヶ月から6ヶ月へと大幅に短縮することで、構築にかかる費用を当初の計画である30億ウォン(約3億円)から20億ウォンへと削減できるようになったと発表した。
- 水素経済の活性化政策
この日、文大統領の発表後、記念式が行われたChangwon市では、水素バスの運行を実際に開始した。2019年度には、まず35台の水素バスがソウルやChangwon市を含む7ヶ所の都市にて運行される見込みである。産業通商資源部は、Changwon市などの3ヶ所の都市を水素生産基地と指定し、1日に約1000~1300kgの水素を生産して水素バスに供給すると述べている。供給後に残った水素は、近い地域の水素充填所に供給するという。
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