インド政府、自動2輪車等を6~8年以内に電動化したい意向

インド政府のシンクタンクであるNITI Aayogは、大気汚染対策と化石燃料への依存度の低減のために、スクーターを含むほとんどの自動2輪車を6~8年以内に電動化することを提案しているという。これは、この問題に詳しいある消息筋が明らかにしたもので、同消息筋によれば、NITI Aayogの提案にはインドでひろく使われている3輪オートリキシャの電動化へ向けた提言も含まれているという。

NITI Aayogはインド政府の政策立案に重要な役割をはたしているシンクタンクで、ナレンドラ・モディ首相がそのトップの座についている。なお、インドでは2019年4月から5月にかけて総選挙がおこなわれ、モディ首相率いるインド人民党が圧勝した。

 

インドにおける2輪車の電動化の現状:

インドでは2019年3月末までの1年間に2100万台を超える自動2輪車(スクーターを含む、以下同様)が販売された。インドは世界的にみても自動2輪車の最大の市場のひとつである。同じ1年間に、同国で販売されたユーティリティ・ビークルを含む乗用車は330万台にすぎない。

いっぽう、同国の電気自動車工業会(SMEV)のデータによると、電動スクーターの年間販売台数は、全体からみれば微々たるものであるものの、前年の5万4800台から12万6000台と倍以上の伸びを示している。

 

今後の見通し:

総選挙におけるインド人民党の圧勝により、重工業国営企業省、運輸省、および電力省も関与しているといわれるこのNITI Aayog提案が採用され、電動2輪車の新たな巨大市場がひらける可能性は高まったといえる。

モディ政権はすでに2017年に、ユーティリティ・ビークルを含む乗用車について、2030年までに新車はすべて電気自動車にするという野心的な目標を設定したが、自動車業界の反対に遭って計画の修正を余儀なくされ、新車販売台数に占める電気自動車の割合を現在の1%未満から向こう5年間で15%にまで高めるという目標に後退した。

自動車業界の反対の理由はおもに、電気自動車への優遇策や充電インフラなどの整備に関する政策が明確に示されなかったことにあり、これを踏まえて今回のNITI Aayogの提案には、優遇策のほかに、ガソリン・モデルへのペナルティなども盛り込まれているという。