ドイツ連邦交通デジタルインフラ省(BMVI)は2019年10月7日、「第二次 水素・燃料電池技術国家イノベーションプログラム(NIP II)」の枠組みで、燃料電池自動車(乗用車)の購入を対象とする補助金の公募を発表した。申請受付や支給などの一連の実務は、ドイツ水素・燃料電池技術機構(NOW)がBMVIの委託を受けて行う。募集要項原文(ドイツ語)は、関連文書(1)を参照。概要は、以下の通りである。
- 目的
BMVIは、2017年10月18日のNIP II 助成ガイドライン(原文は、関連文書(2)を参照)第2項1に従い、「保有車両(フリート)における燃料電池自動車」を対象とする補助金の申請を募集する。
- 総予算:総額5億ユーロ(約588億円)
- 申請適格:
- 保有車両を所有する事業者
- 申請1件につき3台以上の車両を購入することが条件(地域レベルで共同申請し、この最低台数要件を満たすことも可能)
- 補助率:
原則として投資費用の一部を負担する形で、非償還の補助金として支給される。助成率は以下の通り。
- a) 国家補助(State-aid)と見なされる場合:EU国家補助規制の定めに従って、投資超過額* の最大40%。ただし中小企業向けにはこれに加えて、それぞれ10%(中企業)と20%(小企業)のボーナスが加算される。
* 「投資超過額(MehrinvestitionskostenまたはInvestitionsmehrausgaben)」は、従来技術を採用した場合と比較して、革新技術を採用することによって発生する追加支出部分を意味する。
- b) 国家補助とは見なされない場合:投資超過額の最大50%
- 対象車両:
- 乗用車として保有車両に投入される燃料電池自動車
- 新車として購入される車両のみ。リース車両は対象外
- その他の要件
- 受給者は、2年間の承認期間(Bewilligungszeitraum)内に車両を購入すること
- 受給者は、当該自動車を少なくとも2年間は保有車両として利用すること
- 申請書類の受付期限:2020年1月31日
なお、募集要項の添付書類1に適格モデルとしてリストアップされているのは、今のところ「Hyundai Nexo」と「Toyota Mirai」の2つのモデルのみである。補助金額については、以下の表1及び表2を参照のこと。
表 1 補助金額算出の基準となる「投資超過額(Investitionsmehrausgaben)」(定額)
モデル名 | 税別 | 税込み |
Hyundai Nexo | 42,983ユーロ | 51,150 ユーロ |
Toyota Mirai | 42,529ユーロ | 50,610 ユーロ |
表 2 補助率40%の場合の車両一台当たりの最大助成額
モデル名 | 税別 | 税込み | 助成率 |
Hyundai Nexo | 17,193ユーロ | 20,460 ユーロ | 40% |
Toyota Mirai | 17,012ユーロ | 20,244 ユーロ | 40% |
(表1及び表2の出所:Aufruf zur Antragseinreichung zur Förderung von Brennstoffzellen-PKW in Flotten (08/2019) 添付書類1)
関連文書
- ”Aufruf zur Antragseinreichung zur Förderung von Brennstoffzellen-PKW in Flotten (08/2019)”
(保有車両における燃料電池乗用車向け補助金申請募集)
- „Maßnahmen der Marktaktivierung im Rahmen des Nationalen Innovationsprogramms Wasserstoff- und Brennstoffzellentechnologie Phase II (Schwerpunkt Nachhaltige Mobilität)“
(第二次 水素・燃料電池技術国家イノベーションプログラム(NIP II)の枠組みにおける市場活性化対策(重点:持続可能なモビリティ))
https://www.bmvi.de/SharedDocs/DE/Anlage/G/marktaktivierung-nip-2.pdf?__blob=publicationFile