ドイツ連邦内閣は2019年11月18日、電動車を対象とする購入奨励金「環境ボーナス(Umweltbonus)」の支給期間を2025年末までに延長し、さらに支給額を大幅に引き上げることを正式に決定した。連邦政府による発表内容は、以下のウェブサイトで閲覧可能である(ドイツ語)。
https://www.bundesregierung.de/breg-de/aktuelles/umweltbonus-1692646
背景
2030年の気候目標を達成するためには、それまでにドイツ国内の電動車登録台数を700万~1000万台へ引き上げる必要がある。この目標に照らし、3年前に導入され、2019年末に終了することになっている環境ボーナス支給制度を2025年末まで延長し、さらにその支給額を大幅に引き上げる必要がある。これは、11月4日に開催された「第二回モビリティ協調行動(Konzertierten Aktion Mobilität)会議」の枠組みで決定された内容である。
支給額
駆動方式 | 現行の支給額 | 新しい支給額 | |
純粋な電気自動車(BEV) | 4000ユーロ | 車両販売価格(税別)≦40000ユーロ | 6000ユーロ |
40000ユーロ<車両販売価格(税別)≦65000ユーロ | 5000ユーロ | ||
プラグインハイブリッド自動車(PHEV) | 3000ユーロ | 車両販売価格(税別)≦40000ユーロ | 4500ユーロ |
40000ユーロ<車両販売価格(税別)≦65000ユーロ | 3750ユーロ* |
(1ユーロ=約120円)
* 第二回モビリティ協調行動会議の結果報告の際には、4000ユーロとされていた。
(出所:連邦政府の情報をもとにEnviX作成)
総予算
環境ボーナスの費用はこれまでと同様、連邦政府と業界が折半する。連邦政府は、2020年以降の予算として、20億9000万ユーロ(約2509億円)を準備している。なお、ボーナス支給は、2025年末あるいは予算がなくなり次第終了となる。
新古車向け環境奨励金
政府発表によると、将来は新車だけでなく、使用期間が短い中古の電動車(junge gebrauchte Elektrofahrzeuge)にも、二次販売時に複雑な手続きなしで何らかの環境奨励金(Umweltprämie)を支給するとされている。ただし、当該車両が、社有車として国の補助金を受け取っていないことなどが受給条件となる。なお、具体的な支給額はまだ発表されていない。
今後の展開とスケジュール
本件に関する「電動車の販売促進のためのガイドライン第三改正」(Die 3. Änderung der Richtlinie zur Förderung des Absatzes von elektrisch betriebenen Fahrzeugen) が、これから連邦官報に掲載される。これは掲載の翌日に発効し、2025年12月31日に失効する。