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シンガポール2020年予算案「2040年までに内燃機関搭載車を国内の道路からなくす」

シンガポール政府は2020年2月18日、同国の気候変動対策の一環として、「内燃機関(ICE:internal combustion engine)自動車を国内の道路から徐々になくし(phase out)、2040年までにすべての自動車がクリーンエネルギーで走行するようにする」方針を表明した。これは、Heng Swee Keat副首相兼財務大臣が、この日議会で行った2020年予算演説の中で明らかにしたもので、これを実現するための3つの施策も合わせて発表された。2020年予算案の全内容は、以下のシンガポール政府ウェブサイトで閲覧することができる。

https://www.singaporebudget.gov.sg/budget_2020

この中のエレクトロモビリティに関する項目(D15~D18)を以下に記す。

D15 我々のビジョンは、ICE自動車を段階的になくし、2040年までにすべての自動車がクリーンエネルギーで走行するようにすることである。この予算案には、これを促進するための3つの施策が掲げられている。
D16 第一に、よりクリーンで環境にやさしい自動車の導入を促すためのインセンティブを強化する。

a.      2018年に、乗用車とタクシーを対象とする「車両排出スキーム(VES:Vehiclar Emissions Scheme)」を導入した。同スキームの下、よりクリーンな乗用車やタクシーの購入者にそれぞれ最大2万SGDシンガポールドル(以下、「SDG」と表示する)と3万SGDの奨励金が支給されている。

b.      同スキームの効果が確認されている。より多くの乗用車やタクシーの購入者が、ハイブリッド自動車などの環境にやさしい動力源を選択している。

c.      これを受けて、小型商用車を対象に、「商用車排出スキーム(Commercial Vehicle Emissions Scheme)」と称する同様のスキームを導入する。新スキームの詳細は、環境・水源大臣があらためて発表する。

d.      乗用車とタクシーを対象に「EV早期導入インセンティブ(EV Early Adoption Incentive)」を支給する。

i.          100%電動の乗用車やタクシーの購入者には、最大で45%の「追加登録料(ARF:Additional Registration Fee)」(注1参照)割引を付与する。なお、割引額の上限は2万SDGとする。

ii.          このインセンティブは、2021年1月から3年間実施される。

e.      昨今の自動車の高効率化動向をより良く反映するために、乗用車向けのRoad Tax(注2参照)の課税方式も2021年から改定する。これによって、電気自動車と一部のハイブリッド自動車では、全体としてRoad Taxの額が引き下げられることになる。

D17 第二に、公共のEV用充電インフラを拡張する。

a.      現在、国内にはおよそ1600台の充電器がある。

b.      民間セクターと協力し、公共の駐車場にける充電器設置台数を増やす。2030年までに国内で2万8000台まで引き上げることを目標とする。

D18 最後に、政府が主導権を握る。環境のための私たちの役割を果たすために、クリーンな車両の調達と利用を漸進的に進めていく。

注1:国土の狭いシンガポールでは、道路の混雑を防ぐために自動車登録が厳しく規制されている。同国で自動車を所有して使用するためには、まず新車購入権(COE:Certification of Entitlement)を公開入札で購入する必要がある。COEは、要するに一種の自動車取得税であるが、その額が入札で決定される点に特徴がある。ARFは、このCOEをはじめとする各種税金や手数料と並んで、登録時に課される税金であり、Open Market Value(OMV)と呼ばれる車両本体標準価格を基準とする累進課税となっている。

注2:Road Taxは排気量、エンジンタイプや駆動方式、車齢などを基準に算出される。

(注の情報源は、以下のシンガポール政府関連機関ウェブサイト:

https://www.onemotoring.com.sg/content/onemotoring/home.html

 

一方、同国では新たに電動車向けの追加課税も予定されている。現在、燃料消費税(fuel excise tax)による税収は年間10億SDGに及ぶ。しかし、電動車は同税が免除されているため、電動車販売が順調に拡大すると、この税収が大きく減ることが見込まれる。このため政府は電動車を対象に、いずれは燃料消費税に代わる何らかの「利用ベースの税(a usage-based tax)」を導入したいと考えている。このための技術が利用可能になるまでの暫定策としてまず、一律課税を2021年に導入する。課税額は、初年度は100 SDGからスタートし、2022年に200 SDGへ、そして2023年には350 SDGへと段階的に引き上げられる。Heng副首相は、「これに伴い電動車に対する課税額は今よりも高くなるとは言え、早期導入者向け割引を活用することによってトータルでは大幅な節税が可能である」との見解を示している。

 

参考:1シンガポールドル(SDG)= 約80円