タイ、EVの生産ハブを目指す取り組みを加速

2020年3月11日、タイSomkid Jatusripitak副首相は「国家電気自動車政策委員会」(以下、「本委員会」)の2020年第1回会合を開催した。本委員会は、EV産業への投資を拡大し、同産業の発展を真に加速するため、2020年首相令第38号(2月7日付け)により設置されたものである。タイ工業省は2030年までに電気自動車(EV)産業の発展に一層注力し、アジアのEV生産ハブ国となるための取り組みを加速することを掲げ、さらに最終的にはPM2.5による大気汚染の解消を目指すという。

 

本委員会が果たすべき役割は以下のとおり。

・ EV産業に関する政策を形成する

・ 策定された計画・目標に沿ったEV産業の発展を加速、監視する

・ EV産業を発展させるための行動に関する提言を出す

 

工業省のSuriya Roongruangkit大臣は、今回の会合において、EV業界の成長を迅速に後押しするためのロードマップ「Thailand Smart Mobility 30 @ 30」が承認されたことを明らかにした。このロードマップは、2030年までに自動車の総生産量に占めるEVの割合を30%にすること目標とし、そのため以下のとおり短期、中期、長期的目標を掲げている。

 

短期(2020~2022年) 政府の車両、公共バスを中心に、公用車およびその他の個人用車両としてEVを合計6万〜11万台導入する。
中期(2021~2025年) EV・スマートシティEVバスを合計25万台を導入する。
長期(~2030年) EVを75万台導入する

 

タイ投資委員会(BOI)は現在、EV充電ステーションを含むEV・部品生産への投資を積極的に受入れており、投資促進策を受けたEVメーカーは28社存在する。その投資額は合計で110億バーツ(約359億円)を超え、トヨタ、ホンダ、メルセデスベンツ、BMW、小型EVメーカーのフォム(FOMM、本社:川崎市)から5車種以上のEVが販売されている。

 

充電ステーションについては、バッテリー生産を促進するため、公共・民間部門が交流(AC)のステーションを736箇所、直流(DC)ステーションを69箇所、それぞれ設置した。また投資促進策に申込を行った企業は11社を超え、9社は既に投資促進策を受けている。しかしながら、EVが高価で購入できない、長距離の移動をサポートするには充電ステーションの数が足りないなどの問題は依然として存在する。これについて副首相は、関連する省庁に対し、排ガスが少なく低価格の自動車の利用を促進し、さらにEVへの切り替えを促すためのインセンティブを創出する計画を策定するよう指示した。

      (2020.04.01 SW)