中国国務院常務会議、「新エネルギー自動車産業発展計画」を可決――2025年までに新車の新エネ車率25%を目指す

2020年10月9日に開催された中国国務院常務会議で、「新エネルギー自動車産業発展計画」(以下「計画」と略称)が可決された。同計画では、技術イノベーション・制度設計・インフラなどの分野において、新エネルギー自動車産業の発展推進を支援することが明確に打ち出されている。

 

  • 目標

同計画では、2025年までに新エネルギー自動車が新車販売量に占める割合を25%前後、インテリジェント・コネクテッド・ビークルが新車販売量に占める割合を30%にまで到達させることを目指すことや、高度な自動運転によるインテリジェント・コネクテッド・ビークルの限定地域や特定場面での商業化利用の実現を果たすという目標が明確に示されている。

 

  • 新エネ車産業の発展と課題

新エネルギー自動車の発展は、中国が自動車大国から自動車強国となるためにたどらなければならない道であるとともに、気候変動に対応し環境友好型の発展を推進するための戦略的措置でもある。

エネルギー基金会主席執行官兼中国地区総裁の鄒驥氏によると、中国は2060年までにカーボンニュートラルを実現させるという目標を発表したが、同目標実現のためには交通の電動化が重要な役割を果たすという。

 

2012年以降、純電気駆動の推進という戦略を堅持している中国では、新エネルギー自動車産業の発展において目覚ましい成果を挙げており、世界の自動車産業の構造転換において重要な役割を果たしている。

新エネルギー自動車産業の成長により、投資・雇用・税収は急速な拡大を遂げており、中国経済の成長における原動力となっている。現在、中国における新エネルギー自動車産業チェーン全体の投資額は2兆元を超えており、質の高い発展における新たな牽引力ともなっている。

 

中国の新エネルギー自動車産業は一定の成果を得てはいるが、深刻な課題にも直面している。

中国自動車技術研究センター政策研究室の劉斌副主任は、イノベーション分野の基礎研究能力の脆弱さや、核心技術における制約、革新的な人材の不足などにより、新エネルギー自動車の発展が妨げられていると考えている。

 

 

  • 新エネ車産業の刺激策

今回の国務院常務会議では、特に根幹技術への取り組みを強化し、車両のオペレーションシステム、駆動用バッテリーなどの開発・イノベーションの奨励などに力を入れることが強調された。また、新エネルギー自動車とエネルギー・交通・情報通信などの産業とのさらなる融合を支持し、電動化とインターネット化・インテリジェント化技術の融合による共同発展を促進して、標準への対応やデータの共用を推進することについても強調されている。

国務院常務会議では、さらに、バッテリーの充電・交換や水素充填などのインフラ建設の強化、急速充電を主とする高速道路・都市道路の公共充電網の構築を急ぐことについても言及しており、公共施設の充電設備建設に対して財政支援を行うことについても触れている。

 

中国の農村部には、新エネルギー自動車の巨大な市場が存在しているが、農村の充電設備および充電網という問題により、新エネルギー自動車の農村進出は妨げられている。

農村で困難な充電という問題に対して、今回の国務院常務会議では、「バッテリー交換モデル(集中型充電施設でのバッテリーの充電・交換)」の実施を奨励している。さらに、公共サービス分野での新エネルギー自動車利用の拡大に対する政策による支援についても明確に示された。同会議では、2021年以降、国家エコ文明試験区、大気汚染防止重点地域での公共バス、タクシー、物流配送などの公共分野において、車両を新規追加または更新する場合、新エネルギー自動車の比率を80%以上とするという方針も打ち出されている。

 

上記記事の中国語原文は、以下の中国政府網ウェブサイトで閲覧可能である(中国語簡体字)。

http://www.gov.cn/zhengce/2020-10/10/content_5550115.htm