フィンランド交通省、2045年国内交通部門のカーボンフリー化に向けたアクションプラン案を公表

フィンランドの交通・コミュニケーション省(Ministry of Transport and Communications)は2018年12月12日、2045年までに国内交通部門をカーボンフリーとするためのアクションプランのドラフト(以下、単に「アクションプラン」とする)を発表した。これは、同省が設置した、交通と気候政策のためのタスクフォースが起草したものである。原文等は、以下のURL参照。

フィンランド交通・コミュニケーション省のプレスリリース(英語):

https://www.lvm.fi/en/-/transport-emissions-to-zero-by-2045-990384

アクションプラン原文(フィンランド語、138ページ):http://julkaisut.valtioneuvosto.fi/bitstream/handle/10024/161210/LVM_13_18_Toimenpideohjelma%20hiilettomaan%20liikenteeseen%202045%20Liikenteen%20ilmastopolitiikan%20tyoryhman%20loppuraportti.pdf?sequence=1&isAllowed=y

 

構成

このアクションプランでは、社会全体に不合理な負担を生じさせることなく、カーボンフリーの交通部門を実現し化石燃料を廃絶することを目標に据え、全部で28の施策が提案されている。これらの施策は、大きく以下の4つのカテゴリーに分けられる。

  • 2025年までに道路交通需要(自動車走行台キロ)の増加を食い止める。
  • 貨物輸送の効率を向上させる。
  • 国内保有自動車の近代化を図り、ゼロエミッション自動車や低エミッション自動車に置き換える。
  • 再生可能燃料の利用を2030年まで継続的に増加させる。

 

汚染者負担原則に則った増税等を提案

同アクションプランは、全般的に汚染者負担原則をベースとしている。交通部門のエミッション削減対策の費用は、排出量の多い活動に対する税金や関連料金の引き上げによってカバーされることになる。例えば、化石燃料や排出量の多い自動車を対象とする税金の額を毎年引き上げる。ただし、その一方でエミッションフリー技術への移行や持続可能なモビリティの実現のための支援や投資を行う。つまり、交通部門全体の税負担そのものは増やさずに、その配分を変えるということである。また、低所得世帯に関しては、他の税を軽減することによってこれらの増税の影響を相殺する必要性や方法についても調査しなければならないとしている。

 

2045年までに国内のEV台数を200万台へ

ゼロエミッション自動車と低エミッション自動車のシェアについては、現在の数パーセント(補足:世界エネルギー機関(IEA)発行の“Global EV Outlook 2018”によると、同国における2017年の電気自動車とプラグイン自動車の割合は6.34%)から、次の数十年内には100%まで拡大するとしている。アクションプランが掲げる国内普及台数は、2030年にEV67万台とガス自動車が13万台、さらに2045年にはEV200万台とガス自動車25万台。これらの数字は、政府が掲げる公式な目標値(2030年までにEV25万台、またガス自動車5万台)と比較すると、実に野心的なものとなっている。

 

今後の展開とスケジュール

フィンランドでは今年4月に議会選挙が実施される予定になっており、本アクションプランに含まれる一連の施策の実施については、新しい政権が結論を出すことになる。