EUで電池分野の研究・イノベーション推進のためのプラットフォームBatteries Europeが始動

欧州委員会のドミニク・リストリ(Dominique Ristori)エネルギー総局長は2019年2月5日、ブリュッセルで開催されたEU Industry Day(年に1回開催される、EU産業に関する利害関係者の対話イベント)の一部である「クリーンエネルギー産業フォーラム(Clean Energy Industrial Forum)」 の場で、「Batteries Europe:電池に関わる科学技術とイノベーションのためのEUプラットフォーム」(仮訳)がスタートしたことを発表した。同日、本件に関する欧州委員会プレスリリースも発行された(以下URLに原文あり)。

https://ec.europa.eu/info/news/consolidating-industrial-basis-batteries-europe-launch-european-technology-and-innovation-platform-batteries-2019-feb-05_en

 

なお、クリーンエネルギー産業フォーラムは、

  • 欧州電池アライアンス(European Battery Alliance、以下「EBA」という):リチウムイオン電池セル生産のための欧州ベースの企業連合。2017年に欧州委員会の主導で設立された。
  • InnoEnergy:欧州工科大学院(EIT)の持続可能エネルギープロジェクト
  • Transport & Environmen:持続可能な交通を主題とする欧州の大手NGO

の3つの団体が共催したもので、同フォーラムにはフィンランド雇用経済省のPetri Peltonen政務次官(ゲストスピーカー)をはじめ、Umicore、NorthVolt、ルノーなどの大手民間企業の代表らが出席した。

 

設立趣旨

本プラットフォームの目的は、EU全体で電池テクノロジー分野における研究、イノベーション、そして知識転移を推進することにある。リストリ委員は立ち上げに際し、「EUは、電池の消費者になることだけではなく、2025年には年間2500億ユーロの規模に発展していると見られる電池市場のリーダーになることを望んでいるのです。このためには研究とイノベーションが極めて重要であり、新プラットフォームを通して、欧州が電池やエネルギー貯蔵の分野の世界的リーダーになることを確信しています。(中略)この改革の最前線に立つためには、あらゆる電池テクノロジーを含む、欧州大陸の電池産業基盤を統合しなければなりません」とその抱負を語った。

(報告者注:上述の通り、EUにはすでにEBAという電池関連の企業連合が存在する。EBAが生産拠点を含む包括的な電池バリューチェーンの構築を目的とするのに対し、Batteries Europeは研究開発の連携強化を狙いとする。)

 

組織

本プラットフォームでは、InnoEnergyが、欧州エネルギー研究連盟(EERA:European Energy Research Alliance)ならびに欧州エネルギー貯蔵協会(EASE:European Association for Storage of Energy)との協力の下、事務局の運営にあたると共に、EBAを通じた部門横断的な協働の指揮をとる。

 

関連資料

2019年2月5日発行InnoEnergyプレスリリース(英語、2ページ):

http://www.innoenergy.com/wp-content/uploads/2019/02/European-platform-launched-to-drive-research-and-innovation-on-batteries.pdf