欧州委員会、バイオ燃料の持続可能性に関する2種類の基準を採択

欧州委員会は2019年3月13日、間接的な土地利用変化(ILUC)リスクが高い原料を特定するための基準と、ILUCリスクが低いバイオ燃料・液体バイオ燃料・バイオマス燃料を認定するための基準を定める欧州委員会規則を採択した(下記URL)。

https://ec.europa.eu/energy/sites/ener/files/documents/2_en_act_part1_v3.pdf

これは再生可能エネルギー指令(RED)の改正指令(2018/2001/EU)の第26条(2)に基づき、同指令を補足するために欧州委員会が出した委任法令(delegated act)で、今後、欧州議会とEU理事会による2カ月の精査に付され、反対意見が出されなければ、EU官報での公布から20日目に発効し、域内で直接適用される。

 

本件について欧州委員会のプレスリリース(下記URL)は次のように解説している。

http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-19-1656_en.htm

(1) 2018年12月に発効したRED改正指令は、2030年までにEUの最終エネルギー総消費量の最低32%を再生可能エネルギーで賄い、とりわけ輸送部門は各加盟国で最低14%を再生可能エネルギーで賄うようにすることを定めた。

(2) その達成度の算出時に、食料・飼料由来のバイオ燃料・液体バイオ燃料・バイオマス燃料については、ILUCを引き起こすリスクがあるため、再生可能エネルギーとしてカウントできる割合に上限を設けた(上限は2020年時点で、これらが各国の鉄道・道路輸送部門の最終エネルギー総消費量に占める割合に1%ポイントを足したもので最高7%)。

(3) さらに、ILUCリスクが高い原料(その生産地が森林や湿地など高炭素貯留地へと著しく拡大しているもの)を使ったバイオ燃料・液体バイオ燃料・バイオマス燃料については、2019年時点で各国の鉄道・道路輸送部門の最終エネルギー総消費量に占める割合を2021~2023年の算入上限とし、2024年元日から徐々に減らして2030年末にゼロにすることを定めた。一方、ILUCリスクが低いと認定されたバイオ燃料・液体バイオ燃料・バイオマス燃料については、そうした上限に関係なく、算入を認めるとした。

(4) 今回の欧州委員会規則は(3)の実行に必要な2種類の基準(以下に骨子)を定めるもの。

高ILUCリスクの原料の特定基準

その原料の生産地の世界的な増加が2008年以降、年平均1%を超え、10万ヘクタールを超える土地に影響している

増加した生産地のうち、高炭素貯留地の占める割合が10%を超過(その算出式も規定)

低ILUCリスクのバイオ燃料・液体バイオ燃料・バイオマス燃料の認定基準

RED改正指令第29条の定める持続可能性・温室効果ガス排出抑制基準の順守(炭素貯留の豊富でない有閑地で原料が栽培されることなどを含む)

既に使用中の土地の生産性向上措置や、以前は作物栽培に使われていなかった土地(有閑地)での作物栽培から生じた追加的な原料の使用

上記2条件が満たされていることを証明する確かな証拠

(5) これらの基準の順守の監査は、欧州委員会が公認した自主的制度(下記URLに列挙)により行い得る。

https://ec.europa.eu/energy/en/topics/renewable-energy/biofuels/voluntary-schemes