欧州委員会、米国の大豆はEUでバイオ燃料に使うための持続可能性基準を満たすと結論

欧州委員会は2019年1月29日、米国の大豆がEUでバイオ燃料に用いるための技術的要件を満たしているとの結論を下した。プレスリリース(下記URL)によると、欧州委員会は今回、大豆が持続可能な方法で生産されていることを認証する米国の制度“大豆サステナビリティ認証プロトコル(SSAP)”について、EU再生可能エネルギー指令(2009/28/EC)の定める一連の持続可能性基準を満たしているとして正式に承認する決定を下した。EUでバイオ燃料が公的支援を受けたり、再生可能エネルギー目標の達成に向けて算入が認められるためには、この基準を満たす必要がある。決定は2021年7月1日までの期限付きだが、2018年12月に発効した同指令の改正法(2018/2001/EU、2021~2030年を対象)の定めに則して持続可能性基準の変更点を米国がSAAPに反映させれば、2021年以降も延長され得る。

http://europa.eu/rapid/press-release_IP-19-748_en.htm

 

欧州委員会は“再生可能エネルギーは欧州の未来であり、EUで上市されるバイオ燃料が欧州の求める高い持続可能性基準を満たしていることは重要”とし、米国が2018年11月15日にSSAPの承認申請を欧州委員会に出したのは、そうしたルールを守る準備ができたことを示すものであるとしている。SSAPは、米国大豆輸出協会(USSEC)の支社である大豆輸出サステナビリティ(SES)有限会社により所有・運営されている。米国当局は、この認証制度に加えようとする変更のすべてをEUに通告する義務を負い、欧州委員会は制度が正確に実施されない場合や、年報が提出されない場合、または今後に定める改善点が取り入れられない場合、決定を取り消すこともある。

 

さらに欧州委員会は今回の決定について“ユンケルEU大統領とトランプ米大統領が2018年7月に合意した共同声明の一部を実行するものでもある”としている。両者は声明の中で複数の分野や製品(とりわけ大豆)について貿易を増やすことに合意していた。EUは大豆を乳生産や家畜(鶏、豚、牛など)にタンパク源として与えるために年間1400万トンほど輸入しており、米国の大豆は、その価格競争力のゆえに欧州の輸入業者やユーザーにとって非常に魅力的な選択肢となっている。2018年後半の米国からの大豆輸入量は前年同期比で112%増え、EUの輸入大豆シェアの75%を占めるなど、米国はEUにとって最大の大豆供給国であり続けている。今回の動きは、その欧州市場における商機を一段と拡大するものである。なお、決定はEUの再生可能エネルギー目標の達成に向けて算入される作物由来のバイオ燃料の割合を増やすものではないと欧州委員会は説明している。