独BMW、コンゴ民主共和国からのコバルト調達停止へ

ドイツの自動車大手BMWは2019年3月末、2020/2021年に導入する第5世代電気自動車以降、コンゴ民主共和国からのコバルト調達を行わない方針を明らかにした。これは、ドイツ自動車業界専門誌AUTOMOBIL PRODUKTIONが2019年3月25日に、同誌がBMWのアンドレアス・ヴェント(Andreas Wendt)購買担当取締役に行ったインタビューの内容として報じたものである。

 

現在、コバルト調達は、エレクトロモビリティへの転換に伴うハイリスク要因と見なされている。その理由は複数ある。まず、全世界におけるコバルト埋蔵量全体の60%がコンゴ民主共和国に集中している。このように、主要資源の調達先が、ある特定地域に大きく偏っていること自体が、経営学的観点からはすでにリスク要因である。さらに、コンゴ民主共和国からのコバルト調達に関しては、同国の政情が極めて不安定であり、また汚職が蔓延しているというリスク要因が加わってくる。その上、同国のコバルト採掘をめぐっては、一部で人権侵害の存在も確認されている。

 

こうした中、各自動車メーカーでは自社の調達ルール通して、そのサプライチェーンをクリーンに保つための対策を講じているわけだが、リスクは残る。そこで、BMWは首尾一貫した対策に乗り出すことを決めた。ヴェント氏は今回のインタビューの中で、「2020/2021年に導入する電気自動車第5世代の発売以降、弊社はコンゴからのコバルト調達を停止する」と断言した。さらに同氏は、未発見資源量の存在を指摘すると共に、「新技術の開発を通して、既にEV用電池製造におけるコバルト需要量は低下しており、今後もさらに低下することが見込まれる」と語った。しかし、BMWが実際に2020/2021年以降、リチウムイオン電池の(今のところはまだ)重要な原料であるコバルトをどのような方法で調達する計画であるのかについては言及を避けた。

 

なお、BMWは完全にコンゴと手を切るわけではない。同社は昨年末から、BASF、Samsung SDI、Samsung Electronics、そしてドイツ国際協力公社(Gesellschaft für internationale Zusammenarbeit)と共同で、コンゴにおける持続可能なコバルト採掘のための3年間のパイロットプロジェクトに参加している。