2018年12月にフランス政府とドイツ連邦政府が共同で発表した、欧州における電池セル生産に向けた両国のイニシアチブが、順調に進行している模様だ。フランスのブリュノ・ル・メール経済・財務大臣とドイツのペーター・アルトマイヤー連邦経済・エネルギー大臣は2019年9月18日、パリで行われた仏独経済相会談の後の共同記者会見の場で、その進捗状況を発表した。要点は以下の通りである。
- 2019年末まで:フランス南西部のヌーヴェル=アキテーヌ(Nouvelle-Aquitain)地域圏内で、最初のパイロットプラントの建設を開始
- 2022年から:フランス国内にセル量産工場を建設(建設地に関する公式な情報はまだない)
- 同コンソーシアムには、自動車メーカーPSAグループ(プジョー、シトロエン、DS、オペル)やバッテリーメーカーであるサフト社(国際石油資本トタルの子会社)が参加している。
- 2024年から:ドイツ国内にセル量産工場を建設(建設地に関する公式な情報はまだない)。
- 独アルトマイヤー経済相によると、今年中にこのためのコンソーシアムが組織される予定。
背景
- EUでは、EVブーム到来に備え、欧州でのバッテリーセル生産工場を建設するために、2017年秋に「欧州電池アライアンス(EBA:European Battery Alliance)」を立ち上げた。今のところEUの自動車メーカーは、サムソン、LG化学、パナソニック、CATLをはじめとするアジアメーカーからのバッテリー供給に依存している。
- 2018年12月18日、仏ル・メール経済相と独アルトマイヤー経済相は、欧州における電池セル生産に向けた戦略的アプローチを策定することで合意し、電池セル生産に関する共同声明文 “German-French declaration on Battery Cell Production“を発表した。アルトマイヤー経済相はこの時点で、電池セル生産拠点の構築に向け、2022年までに10億ユーロ(約1178億円)の連邦経済エネルギー省(BMWi)予算を確保したことを明らかにしていた。
- その後2019年2月13日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、電池セル生産拠点の構築支援を目的として、向こう5年間に7億ユーロ(約824億円)の資金を供給する方針を発表した
【過去の関連トピック】
- EnviX 海外エコカー政策モニタリング2019年3月15日「仏独電池セル生産戦略関連の新動向:フランス政府が7億ユーロの資金供給を発表など」
EnviX 海外エコカー政策モニタリング2019年1月17日「仏独政府、EU電池セル生産に向けた戦略的アプローチ策定で合意」