米エネルギー省エネルギー効率・再生可能エネルギー局(EERE)は2019年10月8日、水素燃料電池で走る緊急災害救援トラック、H2Rescueの開発と実証に向けて、国防総省の米陸軍地上車両システム・センターおよび米陸軍工兵隊と協力して事に当たっていることを明らかにした。
この協力により、緊急時救援や災害対策の現場要員に、弾力的な対応を可能にするクリーン・エネルギー車両を提供する道がひらけることになった。この開発プロジェクトでは、フィジビリティ・スタディのほか、H2Rescue救援トラックが緊急時対応の現場でユーザーのニーズを満たすことを実証するための合同計画の策定もおこなわれる。
相次ぐ災害がきっかけ:
米国では2018年から現在に至るまで、カリフォルニア州の大規模森林火災、バハマを襲ったハリケーン・ドリアンを筆頭に東海岸やカリブに到来したいくつものハリケーンなど、さまざまな災害が相次ぎ、それがきっかけとなって緊急災害救援用の特殊車両への関心が高まった。
H2RescueとH2@Scaleイニシアチブ:
H2Rescueは、燃料電池とバッテリーを搭載したハイブリッド救援トラックで、緊急時対応要員や軍隊がこれによって災害現場に急行することができる。また、24時間から72時間にわたって電力、熱、それに飲料水さえも提供することのできるじゅうぶんな量の水素を搭載することが可能となる。
H2Rescue救援トラックの開発に向けたこの協力体制は、妥当なコストで信頼性の高い水素の発生・輸送・貯蔵・利用をめざしてエネルギー省が進めているH2@Scaleイニシアチブともマッチするもので、H2Rescueのようなこの種のものとしては初めての緊急時救援トラックの開発・実証を陸軍と協力しておこなうことにより、技術的な問題点を明らかにし、それをH2@Scaleにフィードバックして重量・中量輸送のための水素利用の研究開発にも生かすことができると考えられている。
なお、この件についてのエネルギー省の報道発表は以下のURLで読むことができる。