2021年5月20日、カリフォルニア大気資源委員会(CARB)は、2018年のSB1014(「クリーンマイルズ基準」)の実施に伴い、ライドシェア企業が2023年からカリフォルニア州の車両の電化を開始することを義務付ける規制を採択した。これは、温室効果ガス(GHG)の排出量を1990年比で40%削減、2045年までに州全体のカーボンニュートラルを達成するという州の2030年気候目標、ニューサム知事のゼロエミッション車に関する知事令(N-79-20)との整合性、および州の大気質に関する目標の達成という、州の2030年気候目標の達成に向けた新たな一歩となる。
【本規制の主な内容】
・SB1014で実施される「クリーンマイルズ基準」では、同州で営業するライドシェア会社がGHGと電化の年次目標を達成することが求められているため、ライドシェア企業を他の企業の車両要件と一致させることになる。本規制では、2030年までにライドシェア企業が温室効果ガス排出量ゼロのレベルを達成し、車両走行距離の90%を完全に電気自動車にすることが求められる。
・このGHG目標は、電気自動車の走行距離を90%以上にする、デッドヘッドマイル(無人走行)を減らす、1回の乗車人数を増やす(プーリング)など、いくつかの方法で達成が可能。またライドシェア企業は、アクティブな交通手段をサポートする歩道や自転車レーンのインフラに投資したり、統合型旅行予約アプリで交通機関に接続したりすることで、オプションでGHGクレジットを獲得することができる。
・本規制は、UberやLyftなどのライドシェア企業が2030年までにゼロエミッション車両に移行するという公約や、ゼロエミッション車両への移行を支援するために利用できる州や連邦政府のインセンティブプログラムに沿ったものとなっている。ニューサム知事が5月に発表した予算案では、これらのプログラムに数億ドルの予算が追加で計上されている。
・EVをリースまたは購入するドライバーは、「Clean Vehicle Rebate Project」、「Clean Cars 4 All Program」、「Clean Fuels Reward」など、州のあらゆるクリーンカー・インセンティブ・リベートのほか、地域の電力会社による財政的インセンティブ、連邦政府による税額控除などを申請することができる。
【背景】
・カリフォルニア州では、輸送部門が温室効果ガス排出量の約50%を占め、州内の大気汚染の原因の大部分を担っている。
・同州の自動車保有台数に占めるライドシェア車両の割合は比較的小さいものの、他の車両の平均走行距離よりも多くの距離を走行することが多いため、ライドシェア車両を電動化することで環境に大きなメリットをもたらすことが可能。
・「クリーンマイルズ基準」は、ニューサム知事の2035年までに内燃機関の乗用車の販売を終了するという知事令に沿ったものである。SB1014(2018年)(クリーンマイルズ基準とインセンティブプログラム)は、CARBとカリフォルニア公益事業委員会(CPUC)に対し、新しいモビリティの選択肢が急速に普及する中、ライドシェア企業がGHG排出量を迅速に抑制するための新しい要件を策定し、実施することを求めている。
・また「クリーンマイルズ基準」は、現在開発中の「Advanced Clean Cars IIプログラム」とも連携しており、2025年以降販売される新車の排出ガス削減および電動化の要件を、より厳格に設定している。
・食品や商品の配送サービスは、この「クリーンマイルズ基準」に含まれない。州全体の年間走行距離が500万マイル未満の小規模ライドシェア企業は、GHGと電化の目標値への遵守は免除されるが、データ報告義務は免除されない。
CARBのClean Miles Standard Regulationウェブサイト: