ブリュッセル首都圏地域、30年以降はディーゼル車を、35年以降はさらにガソリン車を禁止へ

ベルギーの連邦構成主体である3つの地域(以下の注を参照)の一つであるブリュッセル首都圏地域の議会は2019年10月下旬、気候保全計画の最終版を採択した。同計画には、2030年以降はディーゼル車、そして2035年以降はさらにガソリン車を禁止する方針が含まれている。

注)ベルギーの連邦制では、連邦政府のもとに、領域に応じて以下の3つの地域圏政府が設置されている。

  • ブリュッセル首都圏(総人口:約120万人)
  • フランデレン(約650万人)
  • ワロン(約360万人)

 

EU加盟国は、パリ協定に沿って、今年末までにEU当局に国家気候計画を提出することになっており、ベルギーではこの国家計画をまとめるために、3つの地域政府がそれぞれの気候計画を承認する必要がある。その先陣を切ったのが、首都ブリュッセル市を含む19の自治体で構成されているブリュッセル首都圏地域である。ガソリン車とディーゼル車の禁止措置は、同地域政府が掲げる、「2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を40%削減し、2050年までには完全な脱炭素化を果たす」とする目標(EUの目標設定に合致)に向けた取り組みの一環とされている。なお、二輪車も禁止の対象となっており、そのうち最も汚染度の高いモデルは2022年から禁止される予定である。

 

参考情報1:欧州における内燃機関自動車禁止動向

ブルームバーグの統計によると、欧州ではこれまでに24の都市(これらの都市の人口の総計は約6200万人)で将来的にディーゼル車を禁止する決定が下されており、そのうちの13都市では、ディーゼル車とガソリン車の両方が禁止されることになっている。代表的な例は、パリ、マドリード、コペンハーゲン、ロンドン、ローマ 、そしてバルセロナである。

 

参考情報2:フランデレン地域

一方、フランデレン地域では、この秋に発足したばかりの新政権が、「2020年1月1日以降、電動車向けの購入補助金(最大4000ユーロ)の支給を廃止する」方針を発表した(日刊紙De Standaard 2019年10月25日付け報道)。過去の申請件数が予測を大幅に下回っていたことがその理由とされている。2018年の実績では、電動車の総販売台数3600件のうち、購入補助金が申請されたのはわずか415件であった。

ベルギーでは、モビリティ政策においても地域圏政府ごとの取り組みが進められているが、フランデレン地域政府による電動車購入補助金廃止の決定は、ブリュッセル首都圏地域による内燃機関自動車禁止の決定とは真逆の方向に向かうものであり、ここにきて地域間の政策の違いが顕著にあらわれてきていると言える。