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ELV指令見直し:欧州自動車工業会が二つのペーパーを発行――重量車への適用拡大反対など

2020年末を期限とする、EUの「使用済み自動車(ELV)指令(2000/53/EC)」の評価作業に関連して、欧州自動車工業会(ACEA)は2020年1月、以下の二つのポジションペーパーを発行した。

  • 「ELV指令の評価」(1月13日発行、英語、7ページ):

https://www.acea.be/uploads/publications/ACEA_Position_Paper-Evaluation_End-of-Life_Vehicles_Directive.pdf

  • 「ELV指令:トラックとバスを含める可能性」(1月29日発行、英語、6ページ):

https://www.acea.be/uploads/publications/ACEA_Position_Paper-End-of-Life_Vehicles_Directive_Trucks_Buses.pdf

 

背景

2000年10月21日に公布、施行されたELV指令(2000/53/EC)については、2018年6月に公布された「EU廃棄物関連3指令を改正する指令(EU)2018/849」の第10条aにより、「欧州委員会は2020年12月31日までに評価を実施し、欧州議会及び理事会に報告書を提出するとともに、適切な場合には同報告書に改正法案を添えなければならない」と定められている。この評価作業の一環で、欧州委員会は2019年8月6日から10月29日までの期間、パブリックコンサルテーションを実施した。本コンサルテーションのウェブサイト(以下にURLあり)上では、特に以下の2点に注意を払う必要があると記されている。

  • 材料別報告を前提に目標を設定することが可能かどうか
  • 行方不明のELVの問題

https://ec.europa.eu/info/law/better-regulation/initiatives/ares-2018-4731779/public-consultation_en#responding-to-the-questionnaire

 

ACEAポジションペーパーの概要

上記(1)のペーパーでは、「EUのELV関連の既存システムはすでに全般的に上手く機能しており、ELV指令の見直しは、これを損なう可能性のある新たな法的措置を導くのではなく、各加盟国における現行法規の実施と執行の改善に焦点を当てるべきである」というACEAの基本主張が示されている。

また(2)のペーパーは、特にトラックやバスなどの重量車(heavy-duty vehicles)をELV指令の対象に含める可能性についての議論に的を絞った内容であり、「特に循環型経済(circular economy)とEU産業の競争力を視野に入れた場合、トラックやバスをELV指令の対象に含めることは適切なソリューションではない」との基本姿勢の下、同指令を改正する場合の推奨事項として以下の4点を挙げている。

 

  • ELV指令の範囲は、引き続きM1とN1カテゴリー(乗用車と小型商用車)に限定すべきである。
  • トラックとバスのリサイクルは収益性の高いビジネスであり、市場原理で動いている。法律による規制は必要ではない。
  • ELV指令の範囲拡大を検討するにあたっては、拡大を通して廃棄物管理の改善やリサイクル事業の収益性アップという付加価値が生まれることが証明されなければならない。いずれにせよ、リサイクルの義務付けを通して、他の環境問題が犠牲にならないか、あるいは他の資源とのトレードオフが生じないかといった点を慎重に評価する必要がある。
  • 重金属の制限は不要である。自動車業界はすでに、材料戦略に従った重金属使用削減を通して、重量車の環境負荷低減を積極的に進めている。重量車にREACHが適用されており、さらに業界の自主取り組みで重金属の代替が進められていることを考慮すると、トラックやバスに使用される材料や物質の禁止をさらに法制化する必要はない。

 

今後の展開とスケジュール

2020年12月31日:欧州委員会によるELV指令(2000/53/EC)の見直し期限