英国運輸省が2020年2月20日、自動車燃料温室効果ガス排出量報告規則の運用に関するガイダンス(バージョン2.0)を発行した(下記URLにガイダンス)。
英国は2012年4月15日、「2012年自動車燃料(道路車両と移動機械)温室効果ガス排出量報告規則(GHG報告規則)」を施行した。これは、EU燃料品質指令98/70/ECの定める報告要件を英国で実施するもの。GHG報告規則の対象燃料は次のとおり。
・化石燃料(ディーゼル、ガソリン、ガスオイル等)
・低炭素化石燃料(天然ガス、化石由来の液体水素燃料の一部等)
・全部再生可能なバイオ燃料
・一部再生可能なバイオ燃料
・非生物由来の再生可能燃料(水素等)
・一部が非生物由来であり、一部が非生物由来でない一部再生可能な燃料
さらに英国は2018年4月に、「EU燃料品質指令に基づき計算方法と報告要件を定める2015年4月20日の理事会指令EU/2015/652」を実施するため、GHG報告規則を一部改正した。今回のガイダンスはこの改正を踏まえ、燃料供給者がGHG報告規則をどのように遵守すべきかについて情報を整理するとともに、燃料供給者が必要な情報をどのように規制当局に提出すべきかについて実務的情報を提供している。
具体的には、次の点について詳細に解説している。
- GHG報告規則が特定の燃料供給者に課しているGHG削減・報告義務
所定の義務期間内に、道路車両用や非道路移動機械用に45万リットルの液体燃料または45万kgのガス燃料を供給する者は、EUの平均2010年基準値である94.1 gCO2e/MJと比べ、それら燃料の平均GHG原単位(GHG intensity)を2020年に最低6%削減しなければならない。また、供給チェーンの透明性を改善するため、燃料供給者は、供給したすべての燃料の数量及びGHG排出データを報告しなければならない。
- 規制当局へのアカウント開設の申請とその維持
規制当局は、GHG報告規則に基づき情報を報告するためのオンライン報告システムを運用し、企業の義務量を計算するとともに、GHGクレジットを発行する。
- GHGクレジットの申請
- 規制当局に報告する情報
- 非遵守の場合の罰則
規制当局は、義務付けられているにもかかわらず規制当局への登録を怠ったなど、GHG報告規則の要求事項に違反した者に、民事上の罰則を科すことができる。