EUの二輪車等の型式認証に関する改正規則が公布される――OBD-II搭載義務に猶予など

2019年1月31日のEU官報に、「二輪車、三輪車およびクアドリサイクルの型式認証へのEuro 5適用に関して規則(EU)No 168/2013 を改正する2019年1月16日の欧州議会ならびに理事会規則 (EU)No 2019/129」が掲載された。同規則は、2019年2月20日に発効する。

規則原題:

Regulation (EU) 2019/129 of the European Parliament and of the Council of 16 January 2019 amending Regulation (EU) No 168/2013 as regards the application of the Euro 5 step to the type-approval of two- or three-wheel vehicles and quadricycles

規則原文:

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32019R0129

 

背景

EUでは、Lカテゴリー車両(二輪車、三輪車およびクアドリサイクル)の型式認証要求事項は、規則(EU)No 168/2013、そしてその4つの委任規則ならびに実施規則によって定められている。欧州委員会は、同規則の第23条第4項の定めに基づいて、同規則の適用に伴う環境影響に関する調査を実施した。その結果、同規則の一部で変更あるいは明確化が必要であると結論し、2018年3月19日に改正規則案を提出した。その結果成立したのが、今回の規則(EU)2019/129である。

 

主な改正内容

  1. OBDステージIIシステム搭載義務にリードタイム設定

OBD(On-board diagnostics)ステージIIシステムに関連し、一部車両の触媒(劣化)の診断において技術的制約があり、開発を継続する必要があることがわかった。2025年には触媒の診断にも対応可能となる見通しである。こうした状況を受け、同システム搭載義務の適正な実施を確保するために、現行規則(EU)No 168/2013 第21条にリードタイムが設けられる(詳細は、上記規則原文の第1条(1) 第5項及び第6項、ならびに同規則附属書(2)(c)を参照)。

  1. 適用除外の拡大
    • OBDステージIシステム搭載義務の適用除外

車両カテゴリー≪L1e≫(エンジン排気量50cm3以下の二輪車)と≪L2e≫(エンジン排気量50cm3以下の三輪車)に加え、≪L6e≫(非積載質量350kg以下のクアドリサイクル)も適用除外とする。

  • OBDステージIIシステム搭載義務の適用除外

≪L1e≫と≪L2e≫が同システム搭載義務の適用除外であることを明確化し、さらに適用除外を≪L6e≫ならびに二輪車の下位カテゴリーである≪L3e-AxE≫(enduro二輪車)と≪L3e-AxT≫(trial二輪車)に拡大する。

  1. 試験条件を変更

規則(EU)No 168/2013第23条 第3項に定められている「100km走行後に試験を実施」という条件は、自動車の使用期間にわたる排ガス制御装置の実際の劣化を反映していないため、この手順を2025年までに廃止する。

  1. 特定のLカテゴリー車両を対象にEuro 5適用開始を延長

費用便益率を高めるために、特定のLカテゴリー(L6e-B、L2e-U、L3e-AxT、L3e-AxE)車両では、Euro 5 の適用開始を2020年から2024年に延期する。

  1. 欧州委員会の委任法採用権限を延長

規則(EU)No 168/2013は、欧州委員会に5年間の期限付きで、委任法を採用する権限を付与している(同権限は既に2018年3月21日に失効)が、この権限をさらに5年間延長する。

 

注)各車両カテゴリーの定義の詳細は、以下の規則(EU)No 168/2013附属書Iを参照のこと。

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=celex%3A32013R0168