米カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)は2019年1月24日、同州サンホアキン・バレーのPM2.5汚染問題に対処するための計画を示した報告書を採択した。Review of the San Joaquin Valley 2018 Plan for the 1997, 2006, and 2012 PM2.5 Standards(サンホアキン・バレーの1997年、2006年、および2012年PM2.5基準遵守のための計画の評価)と題するこの報告書は、10度にわたるパブリック・ミーティングなどを経て策定されたもので、PM2.5および窒素酸化物(NOx)の排出削減のために移動発生源、固定発生源、および広域発生源のそれぞれの規制のあいだのバランスを考慮した内容になっている。なお、NOxはPM2.5の重要な前駆物質である。
深刻なサンホアキン・バレーのPM2.5汚染:
東西を山脈で挟まれたサンホアキン・バレーは、カリフォルニア州内で粒子状物質による大気汚染が最もひどく、連邦の年間大気質基準に照らしても達成度が全米で最下位である。このため、同地域におけるPM2.5汚染を連邦基準に合わせて改善することが喫緊の課題となっており、報告書の表題にあるStandardsはすべて連邦基準を指している。
サンホアキン・バレーのPM2.5のおもな発生源は自動車、ウッド・スモーク、および粉塵で、大気中のPM2.5のおよそ半分が乗用車、トラックなどの自動車に由来し、残り半分がウッド・スモークや粉塵などに由来している。
排出削減策の概要:
この報告書が示しているPM2.5排出削減策のおもな内容は以下のとおりである。
- 大型トラックからの5排出を削減するために、車検・保守プログラム、低NOxエンジン基準、低排出軽油使用義務化などの新たな規制措置を講じる。
- 家庭用の薪ストーブと暖炉の規制を厳しくし、よりクリーンな代替暖房具への優遇策を強化する。
- よりクリーンな農業機器および業務用炭火焼グリルの購入への優遇策を強化する。
- 特に石油精製施設、油田、および埋立処分場のフレア、ならびに内燃機関およびボイラーから排出されるNOxを削減するための一連の方策を実施する。
なお、この件に関するCARBの報道発表は以下のURLで読むことができる。
また、CARBが採択した報告書は以下のURLで読むことができる。