米ワシントンDCで100%クリーン・エネルギー化条例が成立

米ワシントンDCで、電力をすべてクリーン・エネルギーでまかなうことを義務づける条例が成立した。これは、2018年12月にワシントンDC議会を満場一致で通過した「2018年のクリーン・エネルギーDC包括条例案」にMuriel Bowser市長が2019年1月18日に署名したもので、同市の2004年の再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準が定める電力の再生可能エネルギー依存割合を50%から100%に引き上げ、同市内に供給する電力のすべてを2032年までに風力、太陽光、その他のクリーン・エネルギーでまかなうことを義務づけている。

これによりワシントンDCは、全米で最も野心的な再生可能エネルギー目標をもつ自治体となった。同市に次いで野心的な目標を掲げているのはニューヨーク州で、同州のAndrew Cuomo知事は2019年1月15日、電力の100%脱炭素化を2040年までに達成するための「グリーン・ニューディール」政策を発表している。また、ハワイ州とカリフォルニア州では、2045年までの100%クリーン・エネルギー化が決まっている。

 

ビルのエネルギー効率改善も:

今回成立した新条例には、「2006年のグリーン・ビルディング条例」を改正して、ワシントンDCのビル・エネルギー効率基準の適用対象となる業務用ビルの範囲をひろげる内容も盛り込まれている。

この改正により、同市のエネルギー効率基準が適用される民間の業務用ビルの床面積は、2021年には5万平方フィート以上、2023年には2万5000平方フィート以上、2026年には1万平方フィート以上と、段階的に引き下げられ、それにつれて適用対象ビルの数が増える。

また、ビルのオーナーは自らの所有するビルについて、環境保護庁(EPA)とエネルギー省(DOE)が共同で進めているエネルギースター・プログラムの基準に準拠していることを3年ごとに確認しなければならない。

このほか、業務用不動産の所有者には、「ワシントンDC持続可能なエネルギー・ユーティリティ基金」からの融資が認められることになった。この基金は同市のガスおよび電力事業者が得た利用料金から拠出されているもので、このため、今回の条例でガス・電気料金の値上げが決まった。