EUの第2次発がん性・変異原性物質指令が公布――ディーゼル排気ガスも対象に

EUの「作業中の発がん性物質や変異原性物質への暴露に関連するリスクからの労働者保護に関する指令2004/37/ECを改正する2019年1月16日の欧州議会と理事会の指令(EU) 2019/130」(第2次発がん性・変異原性物質指令)が2019年1月31日付のEU官報(http://bit.ly/2BegCxz)で公布された。2月20日に施行される。

2004/37/ECは、作業場で発がん性物質や変異原性物質に暴露することから生じる健康や安全性へのリスクから、労働者を保護することを目的としている。今回、ディーゼルエンジンの排気ガスを含む、次の発がん性物質に関する職業暴露限界値が設定された。

 

名 称

CAS

番号

限界値(OEL) 経過措置

 

備考

8時間加重

平均(TWA

短期暴露限度(STEL
硬材粉塵 2mg/m3

2023年1月17日まで3mg/m3
六価クロム化合物 0.005mg/m3

2025年1月17日まで0.01mg/m3。溶接、プラズマ切断、または煙霧を発生させる類似の工程の場合は2025年1月17日まで0.025mg/m3
耐火性セラミック繊維

0.3f(繊維)/ml

 
呼吸域結晶シリカ粉塵 0.1mg/m3

 
ベンゼン 71-43-2 3.25mg/m3

1ppm

備考:

皮膚(経皮摂取)

塩化ビニルモノマー 75-01-4 2.6mg/m3

1ppm

 
酸化エチレン 75-21-8 1.8mg/m3

1ppm

備考:

皮膚(経皮摂取)

酸化プロピレン 75-56-9 2.4mg/m3

1ppm

 
トリクロロエチレン 79-01-6 54.7mg/m3

10ppm

164.1mg/m3

30ppm

備考:

皮膚(経皮摂取)

アクリルアミド 79-06-1 0.1mg/m3

備考:

皮膚(経皮摂取)

2-ニトロプロパン 79-46-9 18mg/m3

5ppm

 
o-トルイジン 95-53-4 0.5mg/m3

0.1ppm

備考:

皮膚(経皮摂取)

4,4′-メチレンジアニリン(MDA) 101-77-9 0.08mg/m3

備考:

皮膚(経皮摂取)

エピクロロヒドリン 106-89-8 1.9mg/m3

備考:

皮膚(経皮摂取)

1,2-ジブロモエタン 106-93-4 0.8mg/m3

0.1ppm

備考:

皮膚(経皮摂取)

1,3-ブタジエン 106-99-0 2.2mg/m3

1ppm

 
二塩化エチレン 107-06-2 8.2mg/m3

2ppm

 
ヒドラジン 302-01-2 0.013mg/m3

0.01ppm

 
臭化ビニル 593-60-2 4.4mg/m3

1ppm

 
ディーゼルエンジン排気ガス 0.05mg/m3

 

 

 

2023年2月21日から適用。地下採鉱とトンネル工事の場合は2026年2月21日から適用
多環芳香族炭化水素(PAH)混合物、特にベンゾ[a]ピレンを含むもの     備考:

皮膚(経皮摂取)

内燃機関内の可動部分を潤滑させ、冷却するために、その内燃機関で以前使用されていた鉱油     備考:

皮膚(経皮摂取)

(2019.02.01 mh)