独上下両院、ディーゼル車の全国一律的な通行禁止措置を制限する改正法案を可決

ドイツ連邦議会が2019年3月14日、自動車の通行禁止措置の扱いに関して、全国一律的なルールを導入する連邦排出物防護法改正案を可決した。その翌日の15日、連邦参議院も改正案に同意し、改正法が成立した(以下のURLに改正法案)。

https://www.bmu.de/fileadmin/Daten_BMU/Download_PDF/Glaeserne_Gesetze/19._Lp/13_bimschg/entwurf/13_bimschg_refe_bf.pdf

改正は、連邦排出物防護法第40条第1項に、次の第1a条を新たに挿入する。これにより、窒素酸化物(NOX)の排出量が少ないことを証明したディーゼル車を、通行禁止措置の適用対象外とする。こうして、自動車のハードウェア改造へのインセンティブを創出する。

 

新しい規定によると、通行禁止措置を適用免除されるのは具体的に次の自動車である。

(1) 排気ガス基準Euro4と5のディーゼル乗用車で、実走行時のNOX排出量がkmあたり270mg未満のもの

⇒Euro5のディーゼル車は現在、道路走行時にkmあたり約900mgのNOXを排出している。ハードウェアを改造することで、決められた270mgの値を遵守できるところまで排出量を削減できる。

ドイツ連邦政府の考えでは、そのようなハードウェア改造のためにかかった費用は、自動車メーカーが負担すべきである。一部のメーカーはすでに、3,000ユーロ(約37万円)を上限としてこの費用を負担することを、ディーゼル乗用車の所有者に約束している。

(2) Euro6のすべての自動車

(3) ハードウェアを改造した職人用車と配達車、それから地方自治体の大型車

(4) 民間廃棄物回収処理事業用の大型車で、ハードウェアを改造したもの

(5) 障害者輸送車、救急車、パトカー

 

連邦環境省によると、NO2の空気濃度が1m3あたり年間平均50μgまでの区域なら、通行禁止措置を講じる必要は必要ない。このような区域の場合、NO2に関するEU大気浄化制限値である1m3あたり年間平均40μgという基準を、通行禁止措置を講じなくても、普通に遵守できるからである。これは1つには、連邦政府がすでに決定している助成措置や、ソフトウェアのアップデート等によるものである。

なお、今回の法改正は、この40μgという制限値を変更するものではない。また、通行禁止措置を講じる必要があるかどうかを決定するのは、最終的に地方当局の権限である、という点もそのまま変わりがない。