EUの乗用車CO2排出規制:欧州議会が法案テキストを最終承認

欧州議会は2019年3月27日、EUの2030年までの新しい乗用車及び小型商用車の二酸化炭素(CO2)排出規制に関する規則案を、賛成521票、反対 63票、棄権34票の圧倒的賛成多数で最終承認した。本件についてはすでに昨年12月、欧州委員会、欧州議会、そしてEU理事会の交渉担当者間で非公式の合意に達しており、規則成立までには、欧州議会と理事会によるテキストの最終承認を残すのみとなっていた。欧州議会が承認したテキスト原文(P8_TA-PROV(2019)0304、英文、129ページ)は、以下のURLで参照可能である。

http://www.europarl.europa.eu/sides/getDoc.do?pubRef=-//EP//NONSGML+TA+P8-TA-2019-0304+0+DOC+PDF+V0//EN

 

欧州議会のプレスリリース(文末の関連文書に原文あり)に挙げられている、承認された内容のポイントは、以下の通りである。

  • 基準値:乗用車については2030年までに2021年基準比で5%削減、また小型商用車では同31%削減とする。ちなみに、欧州委員会が2017年11月に発表した原案(COM(2017)0676)では、乗用車、小型商用車とも2030年までに2021年比で30%削減となっていた。
  • 低炭素モビリティへの移行による社会的影響:メーカーの平均CO2排出量が基準値を超過した場合、当該メーカーは、罰金(excess emissions premium)を支払わなければならない。欧州委員会は2023年の見直しの際に、納付された罰金の使途として、ゼロエミッションモビリティへの移行、そして自動車産業従事者のスキル形成支援を目的とした、何らかの資金管理機構やプログラムへの割振りが可能かどうかを評価しなければならない。
  • ライフサイクル分析:乗用車と小型商用車からの全ライフサイクルのCO2排出量には、EUレベルでの評価が必要である。このために、欧州委員会は、その評価方法や整合的なデータ報告の方法に関連して、EU共通方法論の開発が可能であるかどうかを、2023年を期限として評価するものとする。さらに、適切である場合はこれを法制化する。

 

今後の展開とスケジュール

これからEU理事会の承認が下りた後に、本規則はEU官報で発表され、その20日後に発効する。適用開始は2020年1月1日。

 

関連文書

2019年3月27日発行欧州議会プレスリリース(英語):

http://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20190321IPR32112/parliament-backs-new-co2-emissions-limits-for-cars-and-vans