米国の新設蓄電能力、2018年は2017年の約2倍、今後も高成長が続く

2019年3月、エネルギー専門の調査会社、Wood Mackenzie Power & Renewablesとエネルギー貯蔵協会(ESA:Energy Storage Association))は、『米国蓄電モニター2018年展望』(以降報告書)を発表した。報告書によると、送電網に接続された2018年の米国の新設の蓄電能力は、2017年の1.8倍の777MWhへ伸びた。特に、2018年全体の約45%の352MWhが2018年の第4四半期に新設された。2019年は、2018年からさらに倍増する。長期的にも急成長を継続し、2024年までに新設の電力供給能力は、2018年の約14倍の4.4Gwに上る。金額ベースでは、2018年の4億8600万ドル(約534億6000万円)から2024年には約10倍の47億3100万ドル(約5200億円)に伸びる。州の政策および、バッテリー価格の低下が主な成長要因である。

注記:報告書は、”energy storage”という言葉を使用しているが、内容は蓄電に関する物であるため、本報告書では「蓄電」という言葉を使用する。

新設の蓄電能力

                               [出典:報告書]

 

カリフォルニア州、テキサス州の大型プロジェクトが実施されたことにより、2018年第4四半期に設置された蓄電能力のうちの約65%をFTM(Front of the Meter)が占めた。

注記:一般的には、消費者側をBTM(Behind the Meter)、電力会社など供給側をFTMと呼ぶ。

 

成長要因

蓄電市場の成長は州がリードしている。ESAは、成長要因として、安定した再生可能エネルギーによる電力供給の拡大のために蓄電の可能性を検討することを目的とした一連の州の法規制を挙げた。これらの法規制では電力供給計画の中に蓄電を盛り込むことが重要なテーマとなっている。特にカリフォルニア州がリードし、テキサス州、ニューヨーク州、ハワイ州で著しい活動が見られる。連邦レベルでも電力関連市場における蓄電資源への参入者に対する障壁を取り除くことを目的として、2018年2月15日、米国連邦エネルギー規制委員会(FERC)が指令No. 841を発行した。今後、より多くの州で同様の法規制が策定され、指令No.841が多くの市場機会を創出すると予想されている。

バッテリー価格の低下も市場拡大の要因である。2016年の価格が約$280/ kWhであったのに対し、2018年末の価格は70%、さらに2023年末には約50%強の約$150/ kWhに下がると予測されている。

 

報告書、U.S. Energy Storage Monitor 2018 Year-in-Reviewは、以下のURLで購入することができる。

https://www.woodmac.com/research/products/power-and-renewables/us-energy-storage-monitor/