米カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)は2019年5月30日、石油精製・販売会社Tesoro Refining & Marketing, LLCに対し、低炭素燃料基準(LCFS)に違反したかどで136万ドル(約1億4700万円)の反則金を科したことを明らかにした。LCFSのもとで燃料生産者は、カリフォルニア州内で販売する輸送用燃料により発生する炭素強度(CI:消費されるエネルギーの単位当たり排出重量炭素の量)を報告しなければならないことになっている。
違反の内容――19億ガロンの燃料について虚偽の報告:
Tesoroは2011年から2016年にかけて、計19億ガロンのガソリン、軽油、バイオディーゼル燃料、およびエタノール燃料について虚偽のCI報告をおこなった。このなかには、LCFS未達成の4億300万ガロンの燃料についてCIを実際よりも低く報告したものも含まれている。
同社はこの虚偽報告の事実を2017年3月にCARBに自主申告し、その後もCARBに協力して情報を提供するとともに、報告を修正した。こうしたことが評価されて、反則金は大幅に減額されている。
LCFSについて:
LCFSは、ガソリンや軽油をはじめとする輸送用燃料のCIのベースラインを定めている。このCIの値は燃料のライフサイクル全体――生産、輸送、および使用の各段階――を通じて排出される温室効果ガスの量をもとに算出される。
燃料生産者が生産する燃料のCIがベースラインを上回っているか下回っているかによって、その生産者に欠損またはクレジットが発生する。すなわち、燃料のCIがベースラインを上回っている場合は生産者のクレジットに欠損が生じ、逆に下回っている場合は生産者にクレジットが付与される。付与されたクレジットは欠損の生じた生産者に販売することができる。
LCFSは、カリフォルニア州が地球温暖化対策法という州法(AB 32)にもとづいてはじめたプログラムで、AB 32にもとづくプログラムとしては、このほかにキャップ・アンド・トレード、ゼロ・エミッション・ビークル(ZEV)推進、再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準などがある。
なお、この件についてのCARBの報道発表は以下のURLで読むことができる。
https://ww2.arb.ca.gov/news/tesoro-fined-136-million-low-carbon-fuel-standard-violations