2019年6月24日、工業情報化部は公告を出し、党中央、国務院の政府職能転換と「放管服」※の深化に関する改革精神を一段と貫くため、当部は2019年6月21日より『自動車駆動用バッテリー業界規範条件』(下記では『規範条件』と略す)を廃止することを決め、第一から第四回の規範条件適合企業リストも同時に廃止することを明らかにした。
2015年3月、工業情報化部は『規範条件』を策定し公表している。『規範条件』では、生産規範、生産能力、技術要求など多方面から駆動用バッテリー企業に対する規定を定めていた。企業は自己意志原則により申告を行い、審査に合格した場合に『規範条件』適合企業リストに登録されることとなっていた。
『規範条件』に合う企業によって生産された駆動用バッテリーを使う新エネルギー自動車のみが、『新エネルギー自動車普及推薦車種リスト』に入り、新エネルギー自動車関連補助の受給資格を得るので、『規範条件』適合企業リストは業界内において駆動用バッテリー業界の「ホワイトリスト」とも呼ばわれている。
『規範条件』が発表されて以来、2015年11月から2016年7月まで工業情報化部は『規範条件』適合企業リストを計四回公表しており、寧徳時代、沃特瑪、比亜迪、国軒高科、比克動力など57軒の企業が含まれたが、外資企業が一社も含まれていなかった。
2016年11月、駆動用バッテリー業界の発展に連れ、『規範条件』の更新と代わりとして工業情報化部は『自動車駆動用バッテリー業界規範条件(2017年)』(意見募集稿)を公表し,主に生産能力、安全要求、研究開発能力、リサイクルなどといういくつかの面において『規範条件』を調整し完備させようとした。しかし、当該意見募集稿は正式に公布されないままとなっている。
2017年9月、工業情報化部の辛国斌氏は「駆動用バッテリー産業は業界規範管理を強化し、市場主体積極性を発揮させ、後続業界管理業務の重点を事中事後監督管理面におき、『自動車駆動用バッテリー業界規範条件』との方式で企業生産条件と能力に対して具体要求を出すのをやめることを考えており、関連後続業務は中国自動車駆動用バッテリー産業創新連盟に任せる。」と述べた。
このような方針もあり、2016年6月工業情報化部は『規範条件』適合企業リスト(第四回)を公表して以来、今まで新たな『規範条件』適合企業リストを公表しておらず、駆動用バッテリー業界の企業参入許可業務も、中国自動車駆動用バッテリー産業創新連盟に引き継がれるようになったという。
2018年5月、中国自動車駆動用バッテリー産業創新連盟、中国自動車工業協会は『自動車駆動用バッテリーと水素燃料電池業界ホワイトリスト(第一回)公示』を公表し、三星環新(西安)駆動用バッテリー有限会社、南京楽金化学新エネルギーバッテリー有限会社(LG化学)、北京電気制御愛思開科学技術有限会社(SK)との韓国系電池企業3軒がリストに含まれた。日本や韓国の電池企業が中国国内駆動用バッテリー業界のホワイトリストに含まれたのはこのときが初めてとなる。
業界関係者は、新エネルギー自動車に関連する補助金が減少傾向にある中でも、日本や韓国の電池企業は中国における働きかけを加速していると述べている。今回、工業情報化部が『規範条件』を廃止することは、業界参入許可を一段と開放し、新エネルギー自動車産業市場化水準を高めていくことに有利に作用すると思われる。
※「放管服」とは
「行政簡素化と権限委譲」、「監督管理の強化」、「サービスの最適化」のそれぞれの用語を省略した言い方。