米ニューヨーク州のディーゼル排ガス削減法、2020年初から施行

米ニューヨーク州で、2006年に成立したまま施行が大幅に延期されていた「ディーゼル排ガス削減法」が、2020年1月1日から施行されることになった。この州法は、ニューヨーク州が所有する重量車両、および同州との契約のもとで工事等をおこなう事業者が所有する重量車両を対象に、超低硫黄燃料の使用を義務づけるとともに、2007年以前に購入した車両――ダンプカー、クレーン車、バックホーなどの工事用車両等――については、粒子状物質の排出を減らすために利用可能な最高水準の改造をおこなうか、または廃棄することを義務づけている。

 

業界の懸念を考慮して施行を大幅延期:

「ディーゼル排ガス削減法」は本来、成立の180日後に発効し、施行されるはずだった。しかし、その厳しい内容に建設業界などが強い懸念を示し、それに押されるかたちで州議会はこの州法の施行を何年にもわたって延期してきた。しかし、2019年6月19日に終了した今会期では、そのような延期の手続きは一切なされず、この州法が2020年1月1日から施行されることが事実上決まった。

 

州および契約企業の所有車両への影響:

ニューヨーク州当局によれば、同州が所有する車両のおよそ97%はすでに「ディーゼル排ガス削減法」の要求条件を満たしているが、契約企業に関しては、いったいどのくらいの車両がこの州法の影響をうけるのかを推計するのは難しいという。また、業界関係者は、古い車両の買い替えがまだ済んでいない中小企業が特に、この州法の遵守に要するコストについて懸念を抱いていると指摘している。

州環境保護局は、古い車両の改造には1台あたり1万ドル(約110万円)ないし2万ドル(約220万円)がかかると試算している。さらに、業界団体によれば、法令順守のための改造はしばしば、燃費の悪化やエンジン出力の低下など、望ましくない結果をもたらすことがあるという。

とはいえ、改造の費用を惜しんでこの州法に違反すると、改造と同じくらいのコストがかかる。州環境保護局によれば、最初の違反には500ドル(約5万4000円)から1万8000ドル(約200万円)までの罰金が科せられ、2回目の違反からは2万6000ドル(約280万円)の罰金が科せられることになっている。

 

なお、「ディーゼル排ガス削減法」のテキストは以下のURLで読むことができる。

https://nyassembly.gov/leg/?default_fld=&leg_video=&bn=A11340&term=2005&Summary=Y&Text=Y