2019年下半期、中国商用車市場に影響を与える10大政策――新エネ車に対する補助・免税政策や国Ⅵ排出標準の施行など

中国汽車工業協会(CAAM)は、2019年7月17日付けの記事で、2019年下半期に、中国の商用車市場に影響を与える10大政策についてまとめた。同10大政策およびその概要は、以下のとおりである。

小型トラック(4.5トン以下)を対象にした「大噸小標」特別対策

施行日:2019年5月23日

「大噸小標」とは、大型トラック(トン数の大きい貨物車)に小型トラックと表示する違法行為である。上記の違法トラックを製造する企業に対しては、企業・製品の公告の一次停止、合格証の電子情報アップロードの一次停止、期限内の是正、罰金などの処分が下される。

 

② 2019年の新エネルギー車に対する補助政策

施行日:2019年6月26日

2019年3月26日、財政部は、工業情報化部などと共同で、「新エネ車普及応用財政補助政策のさらなる整備に関する通知」を発表した。以下は、同通知の補助額の一例である。

  • 純電気自動車:航続距離250km以上400km未満[1万8000元(約27万円)]、航続距離400km以上[2万5000元(約37万5000円)]
  • プラグインハイブリッド車:航続距離50km以上[1万元(約15万円)]

同通知によると、2019年3月26日~2019年6月25日の移行期間に販売した車両については、一定割合の補助を受けられるという(例、2018年版の基準に適合しているが2019年版には不適合の場合、対応する基準の0.1倍を補助)。さらに、2019年5月8日には、新エネルギー公共バスに対する補助政策も正式に公布された。

 

国VI排出標準の前倒し施行

施行日:2019年6月26日

2018年6月28日に公布された「GB17651-2018 大型ディーゼル車汚染物質排出制限値および測定方法(中国第6段階)」により、2019年7月1日以降、すべてのガス燃料自動車については、国Ⅵ標準への適合が求められる。また、ディーゼル車に関しては、公共バス、ゴミ収集車、郵便などの車両は2020年7月1日以降、すべてのディーゼル車については2021年7月1日以降、国Ⅵ標準への適合が求められる。各種要素を考慮すると、今後2~3年以内に、国Ⅵ標準は商用車市場にも影響を与えることになる見込みである。

 

改正版国家標準「GB7258」の施行

施行日:2018年1月1日、一部条文は2019年または2020年に施行開始

2017年9月29日に公布された強制国家標準「GB7258-2017 自動車運行安全技術条件」は、2018年1月1日に施行済みだが、その一部については、移行期間が設けられており、2019年以降に施行される。以下は、その一例である。

  • 「危険物を輸送するセミトレーラーのすべての車輪には、ディスクブレーキを装着すること(2.6)」【施行日:2019年1月1日】。
  • 「車両総重量3500kg以下のトラックおよび特殊作業用車両は、規定に適合したABSを装備しなければならない(2.12)」【施行日:2019年1月1日】。

 

⑤ 4.5トン以下のトラックにおける道路輸送証と資格証の廃止

施行日:2019年1月1日

2019年以降、4.5トン以下のトラックを使用した運送業については、道路輸送証と運転手就業資格証が不要になる。

 

「青空防衛戦勝利3年行動計画」

施行期間:2018年7月~2020年

2018年7月3日に公布された同計画では、北京市・天津市・河北省とその周辺地域、汾渭平原地域、長江デルタ地域については、国Ⅲ標準以下のディーゼルトラックと旧式ガス燃料自動車の廃止・更新における前倒し目標および実施計画を制定するよう関連機関に求めている。北京市・天津市・河北省とその周辺地域、汾渭平原地域については、2020年末までに、100万台以上の国Ⅲ標準以下の中型・大型トラックを廃棄処分する計画である。

 

「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2019年版)」

施行日:2019年7月30日

自動車分野では、2020年に商用車製造における外資の出資比率制限(中国企業の出資比率50%以上)を廃止することや、2022年には、乗用車製造における外資出資比率の制限、同一の外国投資家が中国国内で立ち上げ可能な自動車製造の合弁企業を2社以下とする制限を廃止することなどの措置が打ち出されている。

 

トラックの「安全技術検査」と「総合性能検査」の統一

施行日:2019年12月末

2種類の検査サイクルが統一されることにより、企業のコスト削減、時間節約につながる。

 

高速道路のETC推進計画

施行日:2019年末までに、全国の省境における高速道路料金所をほぼ廃止しETC化

 

新エネルギー車の免税政策を2020年末まで継続

施行日:2019年7月1日

2019年6月28日に公布の「車両購入税優遇政策の継続に関する公告」によると、2018年1月1日~2020年12月31日に新エネ車を購入した場合、車両購入税が免除される。