中国国家標準化管理委員会は、2019年10月18日、「2019年第13号国家標準公告」を発表した。同公告で発表された国家標準には、中国独自の自動車排ガス試験走行サイクル(CATC:China Automotive Testing Cycle)について規定した以下の推奨国家標準が含まれている。
- 「中国自動車走行サイクル 第1部:小型車」(GB/T 38146.1-2019)
- 「中国自動車走行サイクル 第2部:大型商用車」(GB/T 38146.2-2019)
- CATC導入計画
上記2本の国家標準は、いずれも2020年5月1日より施行される。これらの標準の公布および施行により、中国独自の自動車排ガス試験サイクル体系(CATC)の基本的な枠組みが確立されたことになる。2019年11月8日に南京市で開催された「中国試験サイクル開発応用技術研究会議」では、以下のCATC導入計画が提出された。
中国試験サイクル標準導入計画 |
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タイプ | 2025年以前 | 2025年以降 | |
小型車(CVW≦3.5t) | 大型車(CVW>3.5t) | すべての車種 | |
ガソリン車・ディーゼル車 | WLTC | CATC | CATC |
ハイブリッド車 | WLTC | CATC | CATC |
代替燃料車 | WLTC | CATC | CATC |
純電気自動車 | CATC | CATC | CATC |
燃料電池自動車 | CATC | CATC | CATC |
関係者によると、現段階では、WLTCを基準とするとともに、CATCを参考標準として関係する試験を実施していくという。今後、公布および施行される評価方法や指標に関する関連標準に合わせて、段階的にWLTCからCATCへの切り替えを行い、2025年以降、すべての車種でのCATC採用を目指す計画である。また、切り替えに伴う企業の負担を軽減するため、一定の移行期間が設けられる見通しである。
- WLTC:Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycles(世界統一試験サイクル)
- 中国版試験走行サイクル
今回公布された2本の推奨国家標準では、以下の8つの走行サイクルが規定されている。
- 中国乗用車走行サイクル(CLTC-P)
- 中国小型商用車走行サイクル(CLTC-C)
- 中国都市バス走行サイクル(CHTC-B)
- 中国バス走行サイクル(CHTC-C)
- 中国トラック(GVW≦5t)走行サイクル(CHTC-LT)
- 中国トラック(GVW>5t)走行サイクル(CHTC-HT)
- 中国ダンプカー走行サイクル(CHTC-D)
- 中国セミトレーラー牽引車走行サイクル(CHTC-TT)
「中国自動車走行サイクル 第1部:小型車」(GB/T 36146.1-2019)で規定の中国乗用車走行サイクル(CLTC-P)では、中国各地における実際の車両走行データに基づき、超高速フェーズは採用せずに、低速・中速・高速の3フェーズが採用されている。全走行時間は1800秒で、低速フェーズ37.4%、中速フェーズ38.5%、高速フェーズ24.1%、平均車速29.0km/h、最高車速114.0km/h、アイドリング22.1%として設定されている。
中国で実際に走行する自動車の燃費を反映したCATCを採用することにより、「自動車産業中期・長期発展計画」で掲げられた「新車の燃費を2020年には5L/100km(20km/L)、2025年には4L/100km(25km/L)にまで引き上げる」という目標の達成を目指す。
なお、「2019年第13号国家標準公告」の原文は、以下のURLより閲覧可能である(上記2本の標準については、概要のみ確認可)(中国語簡体字)。
http://std.sacinfo.org.cn/gnoc/queryInfo?id=549F7479F30FD7F2219EF7FC8099E31D