欧州委員会は2020年11月16日、EU加盟国や製造者が「規則(EU)2019/631」(【関連法規】(1))に準拠して、乗用車と小型商用車のCO2排出量のデータを監視・報告するためのルールを更新する、委員会委任規則案(Ares(2020)6802128、英語、12ページ)とその附属書(英語、11ページ)を公表した。規則案とその附属書の原文は、以下の欧州委員会のサイトでダウンロード可能である。
解説
本規則案の「第1条 主題」に記されている目的は、以下の通りである。
1. 本規則は、加盟国や製造者が、以下のデータを監視し、報告するための手続きの詳細を規定するものである。
新しい乗用車や小型商用車のCO2排出量に関するデータ これらの自動車の、全ライフサイクルにわたるリアルワールド(real-world)のCO2排出量や燃料/エネルギー消費量に関するデータ 2. 本規則はさらに、規則(EU)2019/631第13条に従って使用中(in-service)の自動車におけるCO2排出量の検証手続を確立するために、規則(EU)2017/1151(【関連法規】(2))に準拠して実施される型式認証試験の一環で記録される特定のデータについて、加盟国の管轄当局が行う報告を規定するものである。 |
- ポイント1について:
規則(EU)2019/631の第12条の下で、欧州委員会は2021年以降、乗用車と小型商用車のリアルワールドの燃料またはエネルギーの消費量に関するデータを収集することを義務付けられている。これらのデータは、規則(EU)2017/1151第4a条に規定されている通り、車載デバイス(OBFCM:On Board Fuel Consumption Monitoring)に記録される。⇒ 参考:【過去の関連トピック】(2)
- ポイント2について:
規則(EU)2019/631の第13条は、製造者に対し、適合証明書(CoC)に記録されたCO2排出量および燃料消費量が、規則(EU)2017/1151に従って決定される、使用中の自動車のCO2排出量および燃料消費量と一致していることを確認するよう義務付けている。また、それを検証する手続きを実施法の形で定めることを欧州委員会に義務付けている。
EnviXコメント
本規則案は特に、下記の二つの観点から注目する必要がある。
- EU一般データ保護規則(EU)2016/679(GDPR)との整合性
- プラグインハイブリッド車(PHEV)のCO2排出量や燃料/エネルギー消費量における、公称値とリアルワールドの値の乖離の問題への対応⇒ 参考:【過去の関連トピック】(1)。
今後の展開とスケジュール
- 2020年11月16日~12月4日:本規則案に関するフィードバックの受付
- 2020年 第3四半期:欧州委員会による採択(EnviX注:上記の欧州委員会ウェブサイトにはこの通り記載されているが、正しくは「第4四半期」である可能性あり)
【関連法規】
- 規則(EU)2019/631(2019年4月25日公布、同年5月15日施行):EUで販売される新しい乗用車と小型商用車を対象に、2025年と2030年向けのCO2排出削減目標を定める法律
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32019R0631
- 規則(EU)2017/1151(2017年7月7日公布、2017年7月27日施行):WLTP(乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験)を導入する法律
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A32017R1151