米NHTSA、CAFE基準の民事制裁金の引き上げ時期を調整する規則を公布

2021年1月14日、NHTSAは、CAFE基準を順守できずクレジットで相殺できない自動車メーカーに対する民事制裁金の引き上げ時期について、規則を公布した。これは、2020年10月2日にAlliance for Automotive Innovation(以下Alliance)がNHTSAに対し、コスト、遡及性、リードタイムなどを理由に、CAFE基準の民事制裁金の適用の延期を求める嘆願書を提出し、それが認められたものである。本規則は、2019年7月のニューヨーク大学法学部Institute for Policy Integrityからの再考を求める嘆願書にも対応している。規則により49 CFR§578.6が改正され、2022年式(モデルイヤー)以降、1ガロンあたり0.1マイルのCAFE基準違反に対して、14ドルの罰金が科されることとなった。

 

【背景】

NHTSAは、CAFE基準を設定、施行しているが、その際に遵守義務を満たしておらずクレジットで不足分を補うことができない自動車メーカーに対し、民事罰を課している。  CAFE基準の不遵守に対する民事制裁金は、もともと1975年に制定された。1997年からは、メーカーのフリート平均CAFEレベルが遵守義務を下回った場合、1ガロンあたり10分の1マイル(0.1)ごとに5.50ドルの割合で課されるようになった。

2011年モデル車から、CAFE プログラムは2007 年エネルギー独立性及び安全保障法 (EISA) により改正され、各メーカーのさまざまなフリート間でのクレジット譲渡が提供できるようになった。クレジット購入には多額の費用がかかるため、NHTSAは、ペナルティ率の増加は、そのような費用の増加と相関関係があると考えている。

 

【その他】

  • 通知およびパブリックコメントを実施せず即時発効へ:

通知とパブリックコメントの実施は現実的ではなく、税率の調整時期の決定をさらに遅らせることになるとして、メーカーが対応する計画を立てられなかったモデルイヤーへの増額率の遡及適用を避けるために、即時発効日を設けるには十分な理由があり、また2015年法では、最初の調整は規則の策定により行われると規定されているため、今回暫定最終規則(interim final rule)が公布された。

COVID-19緊急事態に鑑みても、規則を即時発効することは、特に公共の利益にかなうものであり、景気回復を促進するための行政命令と一致しているといえる。

 

 

【関連情報】

官報

https://www.federalregister.gov/documents/2021/01/14/2021-00278/civil-penalties