韓国環境部は2021年2月16日、「自動車温室効果ガス管理制度」の履行実績(2012~2019年)を公開するとともに、自動車メーカーに対する2021年から2030年までの温室効果ガス排出基準を定めた「自動車の平均エネルギー消費効率基準・温室効果ガスの排出許容基準及び基準の適用・管理等に関する告示」(環境部告示第2021-37号)を公布した。
「自動車温室効果ガス管理制度」は、運輸部門における温室効果ガスの排出量を削減するための制度として「低炭素グリーン成長基本法」に基づき2012年に施行された。制度が施行された2012年(140g/km)以来、排出基準は110g/km(2019年)、97g/km(2020年)と徐々に強化されてきた。2018年までは多くの自動車メーカーが基準を達成していたものの、2019年には全19社のうち12社が未達成となった。そのうち9社(キア、ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン、ホンダ、フォード、ボルボ、キャディラック、ポルシェ)については、過去の超過達成分を繰り越せば基準を満たすが、ルノーサムスン、サンヨン、FCAの3社ついては、過去の超過達成分を繰り越したとしても未達成となる。温室効果ガスの排出基準を超過した場合、「大気環境保全法」により課徴金の賦課対象となるため、基準を超えた3社については今後3年間の超過分で未達成分を償還するか、他社との実績取引により未達成分を解消する必要がある。
※未達成分1g/kmに対して、2019年までは3万ウォン(約2900円)、2020年からは5万ウォン(約4800円)の課徴金料率が適用され、課徴金は自動車メーカー別売上額の1%を上限とする。
※課徴金の算定方法:(CO2平均排出量−CO2基準)×販売台数(台)×料率(5万ウォン)
環境部が公布した2030年における温室効果ガスの平均排出基準は70g/kmであり、97g/km(2021年)、89g/km(2025年)、70g/km(2030年)と段階的に基準を強化していく。なお、2025年までに中間検討を実施し、国際的な動向や国の温室効果ガス削減目標、自動車メーカーごとの履行状況などに基づき2026年以降の温室効果ガス排出基準の適正性を検討する予定である。
温室効果ガスの排出基準強化に伴い、電気・水素自動車などゼロエミッション車(ZEV)の販売比重が増加し、内燃機関車の比重は減少することで、輸送部門での温室効果ガス削減が期待される。韓国政府は、「2050カーボンニュートラル宣言」により2030年の温室効果ガス排出削減目標の調整を含めカーボンニュートラル転換に向けた多様な政策手段を検討・導入している。自動車販売会社の低公害車およびZEVの普及義務を強化するため、2021年からZEVの普及目標を新設するなど「低公害車普及目標制」を段階的に強化していく方針である。老朽化したディーゼル車の早期廃車に対する補助金額の上限を拡大するなど、老朽化した車の削減や環境にやさしい車への切り替えを支援し、輸送部門でのカーボンニュートラル転換に向けて全面的な対策を推進していく。
Kim Seunghui環境部大気環境政策官は、「自動車業界が強化された温室効果ガス排出基準に支障なく対応できるよう、ZEVに対する補助金の支援などを拡大すると同時に制度の履行状況を精査していく」旨、明らかにした。
「自動車の平均エネルギー消費効率基準・温室効果ガスの排出許容基準及び基準の適用・管理等に関する告示」の原文は、以下のURLより閲覧できる。
http://www.law.go.kr/DRF/lawService.do?OC=me_pr&target=admrul&ID=2100000198221&type=HTML&mobileYn=
なお、本記事の原文は以下のURLより閲覧できる。