2021年2月20日、工業情報化部により制定された強制国家標準「乗用車燃料消費量限度値」(GB19578-2021)は、国家市場監督管理総局、国家標準化管理委員会の承認を得て公布された。同標準は、2021年7月1日より正式に施行される。同標準はGB19578-2014の改正版である。同標準の公布と実施は、「自動車産業中長期発展計画」を実行する上で重要な取り組みであり、自動車製品の省エネと排出削減を推進し、産業の健全で持続可能な発展を促進して、炭素排出のピークアウトとカーボンニュートラル戦略目標を実現する上で重要な意義を有する。
適用範囲
同標準は、ガソリンまたはディーゼルオイルを燃料とし、かつ、車両総重量が3500kg以内のM1類車両に適用し、ガスまたはアルコールエーテル燃料のみを使用する車両には適用されない。
改正背景
- 2025年までに、従来燃料乗用車、プラグインハイブリッド電気乗用車の試験モードをNEDCからWLTCに切り換えること、そして、同モードの変更が車両総合燃料消費量に影響を与えることが示されている。
- 試験方法について、負荷方式が慣性質量負荷方式から連続負荷方式に変更されている。
NEDCと比べると、WLTCのほうがより審査も厳しく、実際の道路状況における車両の走行状況を表すことができる。WLTCでは、ガソリン車の燃料消費と電気自動車の航続距離についても、実際の運転中の燃料消費と航続距離により近い値となる。
改正目標
同強制国家標準を制定した目的は、政府主管部門の自動車の省エネに対する管理要求を満たし、自動車の炭素排出量の削減を図り、自動車産業の健全で秩序ある、そして、グリーンな発展を促進することである。
同時に、関連標準の更新や技術レベルの向上を全般的に考慮して燃料消費指標を調整し、モードの切り替えなど技術的内容に変更が加えられる状況において、自動車業界が安定して移行を実現できるように保障する。
主な内容
限度値要求
- マニュアルトランスミッション搭載車で、かつ、3列シートまでの車両の燃料消費量限度値。
- その他の自動車の消費量限度値。
- 限度値に対応したCO2排出量の基準値。
生産適合性(COP)
- ガソリン車、ディーゼル車およびバイフューエル車の燃料消費量は、GB/T19233の中の生産適合性に関する要求事項を満たさなければならない。
- 他の車両の生産適合性検査は、GB/T19233に規定されている統計的な方法および合格数の決定ルールに基づいて実施する。
変更および認証の拡張
変更により、変更モデルの燃料消費量に影響が生じない場合、同モデルの認証は変更後のモデルにも適用される。
評価体系の調整
改正版国家標準のもう1つの大きな調整点は、車種燃料消費量限度値に対する評価体系が、車両重量の分類に応じた段階的評価から車両重量に基づく直線的評価に変更されたことである。
乗用車市場情報合同委員会の崔東樹秘書長(事務局長)の分析によると、新しい評価体系では、自動車の重量に意図的な調整を加えるなどして、燃料消費限度値を引き上げるというやり方は通用しなくなるという。
崔秘書長によると、NEDCと比較した場合、WLTCモードの試験では、燃料消費量が少ないアイドリングと巡航状態の占める割合が低く、燃料消費量の多い加速状態の割合が高めのため、明らかに中国の実際の道路状況に近いという。崔秘書長は、モードの切り換えが行われた後、エンジンの技術ロードマップにも一定の調整が加えられると考えている。「小排気量のターボ過給では、加速時に燃料消費量が多めとなる。自動車企業は、簡単な小排気量ターボ過給からNA(自然吸気)または排気量増への転換を遂げる見通しであり、過度の小排気量化という傾向は、新標準の制定に伴い今後、改められることになる」と崔秘書長は述べた。
上記内容の原文については、以下のURLを参照のこと(中国語簡体字)。
https://www.miit.gov.cn/zwgk/zcjd/art/2021/art_71be955cd70049208f7fb37576015fc9.html