米環境保護庁(EPA)と運輸省国家道路交通安全局(NHTSA)が2018年8月に公表した「2021~2016年式乗用車および小型トラックを対象としたより安全で無理なく買え、燃費のよい(SAFE)自動車規則」(SAFE自動車規則)案について、カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)はかねてから、規則案の根拠となる情報の提供をEPAとNHTSAに求めていたが、その情報請求への対応が不十分であるとして、2019年4月5日に連邦政府の両機関を提訴した。
背景と経緯:
この訴訟の背景には、SAFE自動車規則案をめぐる連邦政府とカリフォルニア州など20余りの州との対立がある。この規則案は2021~2026年式軽量車両の燃費・温室効果ガス(GHG)排出基準を緩和して2020年式レベルに据え置くことをめざしており、カリフォルニア州などはこれに強く反発して、2018年10月には同州を含む21州と5市が規則案の撤回を要求する意見書をEPAとNHTSAに提出した。
また、CARBは同年9月にEPAとNHTSAに対し、SAFE自動車規則案の根拠となる情報の提供を求めていた。すでに設定されている2020年式以降の基準は幅ひろい技術的分析にもとづいたものであるはずなのに、それを緩和するからにはその根拠となる新たな情報がなければならず、それを示してほしいというのがCARBの要求である。
ところが現在まで、NHTSAはカリフォルニア州の要求に部分的にしか応えておらず、EPAに至っては情報提供の要求を受理したことを通知してきたのみである。こうしたことから、CARBはEPAとNHTSAを情報公開法等の違反でコロンビア特別区連邦地方裁判所に提訴するに至った。
なお、SAFE自動車規則案を公示する連邦政府の官報記事は以下のURLで読むことができる。
https://www.gpo.gov/fdsys/pkg/FR-2018-08-24/pdf/2018-16820.pdf
また、この訴訟に関する裁判所の公式発表は以下のURLで読むことができる。
https://www.gov.ca.gov/wp-content/uploads/2019/04/CARB-FOIA-Complaint.pdf